「小猫が住処を見つける話」羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来 @花さんの映画レビュー(感想・評価)
小猫が住処を見つける話
日本語吹き替え版が豪華すぎる声優陣。
最近ではpixiv等で中国のクリエイターの方々の作品に触れることも多く、期待して鑑賞しました。
結果はまずまず。
とにかくシャオヘイが猫型でも人型でも可愛い!
花澤香菜さんの優しい甘えるような声がキャラクターの魅力を倍増させ、一つ一つの仕草や呟きがコロコロ転がるビー玉のような響きでした。
シャオヘイが出会う、風の妖精フーシーは櫻井孝宏さんが演じられていて、落ち着いて安心感のある存在だとすぐに魅了されます。物語の終盤では激しさの中にも寂しさを含んだ、呟いているのに、悲鳴にも似た言葉に涙腺が緩みました。
人間なのに強い力を持つムゲン役には宮野真守さん。少し不器用な、素直じゃないけど優しい人柄が少ない言葉数からでも感じられる温かみのある声でした。
会ってすぐに懐かれるフーシーとなんやかんや助けてくれるのに警戒されるムゲンの対比がコミカルで可愛らしい感じでした。
脇役も豪華で、杉田さんや斉藤壮馬さんと言った主役級声優さんが出演されています。
何故?こんなに豪華な顔ぶれなのに、宣伝が控えめなのか不思議です。
さて、ストーリーとしては気を衒わない王道路線です。驚くような伏線や背景も展開もありません。
物語の中盤までは、キャラクターの目的や世界観が語られないので、映画初見だと置いてけぼり感は否めません。
それでも、キャラクターの仕草が可愛らしくて飽きない。キャラクターありきの作品でした。
人間に住処を奪われたから、自分達の住処を奪い返そうとするフーシー一行。
人間に奪われても順応し、共存する妖精や妖精の存在を認めて保護する人間。
先住の生き物を蹂躙して、自分達の種が生き残ろうとするのは人間の性なのか。
それとも、変化に適応すると言う意味では進化論的には間違っていないのか。
何者も奪わず、侵さず、共生していくには、種がそのうちに交わることになるのかな〜と思いながら鑑賞しました。
それも人間的な考え方なんだけど。
悲しいかな、魅力的なヴィランはいつも自分の生まれや血にジレンマを感じながら生きているのに、主人公や多数派はヒョイっとそれを超えていく気がする。
みんなが望む世界。多数派の良しとする世界が果たして本当に幸福な世界なんだろうか?
私は交わるくらいなら、自分の世界と他の世界を閉じようとするフーシーの気持ちの方がよく分かる。
仲良く見えても、いくら近くだとしても、相入れない存在として互いを好意的に無視する世界があっても良いのにな。と考えてしまった。
物語の世界観はとても素敵で、品が良かった。何と言うか、耽美というか、キャラクターの色気を感じた。
日本アニメには無い、集団としての感覚とか演出の仕方が新鮮に感じた。
WEBアニメもあると知ったので、是非一度鑑賞してみようと思う。
友達や恋人、ご家族との鑑賞もオススメです。
観賞後はシャオヘイの可愛さを語り合う楽しさがありますよ。