シャドウプレイ 完全版のレビュー・感想・評価
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歴史的出来事が分からなくても楽しめた
エンドロールを観ると分かると思うが、歴史的な出来事を写した実際の写真を模したシーンが多く登場する作品だ。
歴史的といっても、もちろん中国の話である。つまり、分からない。
日本の感覚だと、ジュリアナで踊る人の写真とか、鉄球を付けたクレーンが写った浅間山荘事件の写真とか、そういったものだ。
エンドロールの前からなんとなく、歴史的な出来事をなぞっているんだろうなとは推測できるものの、わからんものは仕方ない。
そういった意味で、中国通でもない日本人が本当に楽しむためには少々ハードルの高い作品だった。
しかし、事件を追う刑事を主人公としたサスペンスで、複雑に見えるように仕組まれたミスリードもしっかりした、娯楽性の高い作品だったのではないかと思う。
もちろんミスリードというのは、見て、理解して、引っかからないと意味をなさない。なので、なんにも考えずに観るタイプの人には面白くないかもしれない。
あと気になった、というか、珍しいと感じたところがある。
中国映画なのに性的なシーンが多かったことだ。これは非常に珍しい。
まあもちろん何も見えないわけだが。
中国の混沌と時代の迷宮に放り込まれる、待った甲斐があったスリリングな作品
新生活に引越しもあり、2ヶ月近くも映画館から遠ざかっていた…。ようやく観れるとなったこの日、観たのは3年前から焦がれていてた作品。待った甲斐が有りましたよホント。凄い面白かった。
映画として感じる純粋な面白さはもちろん、中国の反映に差し込む光では到底分からない影をライト片手に絞っていく感覚がなんともそそる。愛であり、あるいは地獄であり、それを形容するには到底言葉が足りない。ただ、これもまた中国の一部がベースであり、事実の一片と受け取って良いはずだ。
この作品が突出しているのは、時代や背景が動く時、大きな音が鳴るような感覚がする所だ。7人の人生にはそれぞれモデルとなる事件が存在しており、その点を結ぶ関係はオリジナルとしている。勢いを感じさせる時代には華を、分断の中進む序盤の事件には不穏を、愛には不可侵な時を、それぞれ描いてゆく。ただ、それもまた時代が生んだ翻弄に近いのかもしれない。時を刻むようにニュースが入っているのが印象的だった。
主演はジンポーランさん。カッコよく、野蛮な感じも様になっている。正しさが強大な権力の元で何も出来ない感覚が、また別の正義感を生み出している。そして何より、マースーチュンの可愛さたるや。ショートヘアに心を躍らせたかと思えば、油断出来ない存在感も。総じて良い。
中国では検閲が何度もかかったという本作。映画の中に希望と自由を真正面から描きつつ、フィクションとしての肉付けが本当に素晴らしい。久々の映画、包まれる余韻。そうだ、それだと感じさせてくれた。
モヤモヤするイケメン刑事その1
街とはいえ村として取り残された場所
人と人、人と街、人と都市、人と人、、
あとからみた小さき麦の花という映画の村も腹が立つくらい今の中国の、改革開放以降の時代に取り残された場所の物語だが、ここは目と鼻の先に欲望渦巻く都会があるのだ。ロウイエ監督作品独特の、都市、街の写し方もあるのかもだが、それにしても広州の洗村というロケ地がなんとも秀逸。
なんとなく自分はなにか、どんな存在かということが、変化や発展のスピードの中で特に中国のような特殊な政治経済、世界観のなかで訳がわからなく失いながらなにかを貪欲に得ようとしている様が全体を通底。
パンフレットによると、美男美女の登場人物のなかで一人不細工で強欲で行けてない役人を演じたチャンソンウェンは、配役決まったあと、役人を演じるのは難しいという監督や自身の懸念から役所に一カ月お仕事体験を自らアレンジしてやってきたという。監督のみならず一人一人の努力と熱情を感じる。どの役者さんも、撮影もロケ地も光の加減や音、傾き、着るもの、タバコ、小道具、細かいところまで全て完璧にこの歪んでしまった世界を描いている。ヤン刑事のお父さんの姿がこの街とかさなる。
ヤン刑事が、もちろんイケメンなのだが、なんとももやもやする行動で、これがほんとに途中からすごい気になるのだ。それがまた時代や変化を感じさせるのだが半端ないモヤモヤ感で、ヒーローとか正義とか遠のいていく感じが良い。
結局人と人はどんな場合にも、辛くても死にたくても死にたくなくても計算でも真摯でも繋がりたくなり、簡単ではない繋がりもあり、場合によってはそこに堕ちていくのだ。、
台湾のかた、香港のかた、ぞれぞれに関わり方が違い、中華圏の大団円にもっていくロウイエの企みと実力。
メーキングフィルムも凄く面白い。
しばらく時間をおいてまた見たい作品。
≪見飽きました≫ Once upon a time in CHINA (国技) + ノワール
中国が資本主義化していく時代を描く、「ワンスアポンアタイムもの」をノワールの建付けで撮ってみました!
的な。日本でも、昭和の高度成長期のが終わった後、小説・映画界って、こんな作品が多発してたような気がして。40年くらい前になるんでしょうか?
官民癒着、贈賄の場面等々が描かれています。習近平体制のもと、こういうのも検閲ではねられてしまう時代になるんかねぇ、って思いながら眺めてました。
正直、中国の「ワンスアポンアタイムもの」は見飽きました。なんで、こっちに流れるんでしょうか?人々にウケるから?まぁ、日本も昔、そうだったし。しかも、むちゃくちゃ壮大な話、日本人、大好きだったし。それに比べりゃ、まだマシ?とにかく、感想文を書こうにも、なんも言葉が出てこないくらいに、面白くなかったw
ノワールとしても。ワンスものとしても。
富豪の夢を叶え、新しい家を創る
兎に角、タイパの激しい、タイトな作劇である どんどん速く進む、そして何人もの登場人物達の過去の時間軸も始まり、唐突に現代に戻る(戻り方は今風のカメラパンで同じ背景の儘、刑事が移る等、最近ではパク・チャヌク監督 別れる決心)その時間軸の疾走感で、印象シーンや匂わせ的シークエンスはほぼほぼオープニングでの川の霧のみである 約2時間といえば、火スペに代表されるテレビサスペンス劇場と同じ時間だが、今作は詰め込み過ぎな内容で、2倍速で丁寧に描くという、時間と内容のアンバランスさを、しかも当局の検閲との闘いも差し挟みながら、よく映画として仕上げたと感心すら覚える
しかし、日本人の殆どは現在及び、バブル時期だった中国を知らない 勿論自分も なのでどうしても日本のその時期の狂乱さとの比較の中でスクリーン内で繰広げられる出来事を解釈するしかないのだが、これも又政治的配慮故、描写の甘さが否めない だったら、そこをバッサリ切って、もっと人間のドロドロな性質をクローズアップすればとおもうのだが、これも又検閲で照明を落とさざるを得ない 本来、監督が描きたかったクオリティがこんな形でしか発表できない事への忸怩たる思いを映像化した作品としての最新版なのだろうということを改めて思い知らされた
これを一言で言えば『諦めない』 多分、何一つ消さない、結果として歪であってもそのくじけない姿勢が映像作家としての監督からメッセージを込めての今作の"妙"なのだと気付かされる作劇である
今作のレビューに対して否定的批評の人は、作品の背景も又、作品に内封されるということを理解して欲しいと願う
2018年。ロウ・イエ監督。急速に資本主義化が進む中国社会の闇を二...
2018年。ロウ・イエ監督。急速に資本主義化が進む中国社会の闇を二組のカップルを通じて描く。まさか中国の検閲が関係しているとは思えないが、画面が暗かったり、不必要に揺れたり、途切れ途切れだったりして、酔いそう。時間操作もあまり感心しない。
男2人女1人の三角関係を軸とした物語に驚きはないし、主人公のハードボイルド的な生き方が印象的なわけでもないし、男女の睦み合いが目に焼き付くというわけでもない。ショットよりも物語の流れを重視しているからなのか、息をのむ場面や映像がない。抑圧的な政権に批判的である映画作家というだけで、あるいは、現代社会の問題点を提示するというだけで、映画作家として優れているわけではないな、と再確認せざるを得ない。
10年で移り変わる「人と街」の映画
ストーリーはシンプルなノワールものでそこまで捻りのきいた話ではない。
監督が描きたかったことはそんなことではないのだろう。
10年の経済発展の中で人々や街から得られたものと失われたもの、それに尽きる。
ロウ・イエ監督の視点からみた「中国」の歴史である。
交互に入り乱れるのは華やかな過去と行き場のない現在、我々はいつから?何から?どうして?このような事態になってしまったのだろうか?
見せかけの関係性、夜の街、行き場のない魂、行きずりの関係、完璧にノワールな世界で虚栄の果てに辿り着く皮肉的な結末。
街の中で生まれては消えるものそのものをアーカイブしていかのようにもみえる。
自分が生きた時代の変わりゆく中国
ロウ・イエ監督作品であり、私はこの監督作品は多分2本位しか観ていない筈ですが、印象としては私のご贔屓のジャ・ジャンクー監督と似た、所謂「自分が生きた時代の変わりゆく中国」を描くことをライフワークとしている監督の様ですね。基本的に何処の国の作家であろうと、これをテーマ(若しくは目的)として映画を撮る人に私は惹かれてしまいます。
ジャ・ジャンクーと違うのは見せ方であり、こちらはエンタメ上でそれを表現しようとしているのだけど、恐らくこれは中国の検閲に対してのカモフラージュだと思います。恐らくタイトルの(完全版)というのも国内用と国外用との仕分けであって、国内での検閲で通らない部分の追加が完全版にはあるのでしょうね。その辺りも共産主義国家のクリエーター達の苦心が伺えます。見応えのある力作でした。
ひどく凡庸な物語、自己陶酔する作り手。
全篇なにかこう、世界のいけてる映画をシロートが背伸びして真似してみました(オレたちいけてるよな)みたいな作りで、カメラも編集も照明も全面的に甘っちょろい。甘いから、何がなんだか分からない。
ほとんど地明かりで押し切ってるから、暗い室内のSEXシーンなんかほぼ何も見えてない。カメラは振り回しすぎ編集はショットを短くしすぎで、いやー、映画学校の修了製作で講評に「まあちょっと落ち着け」と書かれるたぐいの作品(講師がそう書いてくれない映画学校は今すぐやめろ)。
そんなに甘いのに物語についてゆけるのは、要するに物語自体が凡庸すぎてはじめから想像つく範囲でしか展開しないから。
同様のストーリーと映像をめざした『別れる決心』が終始プロのしたたかな技巧に支えられていたのと比べてみると、その志の低さがよくわかる。こんなのに「今の時代が映っている」とかダマされるのは若い監督を人より先に認めようと焦ってるおっさんだけ。何歳が作ろうとヘタな映画はヘタなんだよね。
朝日新聞の映画評で北小路隆志さん(誰)がほめてて新宿まで見に行ったけど、はじめの30分で帰ろうかと思ったね。朝日新聞、もう絶対信用しねーぞ。な、なにが「資本主義」やねん!
期待しすぎたかな
ロウ・イエ監督作品(ブラインドマッサージのざわざわするような人間描写が好きだった)なのと前評判が良かったので、ちょっと期待しすぎたかな。
時代的背景と人間臭さ、構成やカメラワークは迫力とスピード感があって良かった。
実話をベースとしたストーリーとしてももう少し驚きと意外性が欲しかった。
鑑賞後に心に残るものがなかったのが残念だった。
【チャイニーズノワール】
主要登場人物7人の相関が時間軸と舞台を超え錯綜。時系列が何度も行き来し、中国本土に香港・台湾と舞台が展開、プロローグ/エピローグが同シーンで最後に全貌が明るみになる解決編の構成。
殺人暴力に、飛び交う悪銭に、SEXに、印象的に登場する喫煙シーンとノワール作品要素をしっかり踏襲。個人的にはもうちょっと余韻があっても良かった感じもするが設定・テンポ含め懐古的空気感が翻って新鮮な印象も残った。
なんだかね
物語としてはとても面白い。
中国の発展を背景にしたヤバめの不動産ビジネスの裏側を題材に、三組の男女をノワールっぽく、広州と香港、台湾(は少しだけど)を股に掛け、89年、2004年頃、2013年を往き来して描く。
と言えば時代背景を含めて描いてくれるのかな、と期待していたのだけど… 兎に角画面が暗い、その上めちゃくちゃ人物に寄って撮るし、それをまたハンディでガチャガチャ揺らして撮るもんだから、なんだかよく分からない…
謎にドローン空撮を入れてくるし、時制が切り替わっても分かり辛い…
スタンダードな、それこそ韓国ノワール的な手法でこの物語が観たかったな…
中盤まで、誰の何の話かわからなかったが・・・
あまり刑事に見えない若い男ヤンが、開発主任の変死について捜査していることはわかるものの、果たしてこの映画が誰の何の話なのか判然としないままに、激しいカッティングの波に飲まれ続ける。
かつて刑事であったヤンの父が、失踪したアユンの捜査中に事故にあい身体障害を負ったことが明かされたところで、ヤンの捜査に対する不可解なほどの執着が、父を抜け殻のようにしてしまった敵=開発会社社長ジャンに対する復讐心であることが判明する。
そして中盤で唐突にヤンとの肉体関係を取り結んだタンとリンの娘・ヌオについても、そのグロテスクな出自と家族関係が明かされることで、この話がヤンとヌオという若い世代の二人による親世代への復讐譚であることがようやく理解される。
前後の脈絡なくヤンとヌオが互いを求めあう展開に戸惑ったが、これは二人がジャン、リン、タンの共犯者らに対する復讐という責務を担っていたがためのものだったのだ。
(にも拘わらずラストでヤンはあっさりヌオを捕まえる。あれれ・・・)
説話上のサスペンスについて述べてきたが、それよりも観る者を驚かせる細部が本作にはしばしば発生する。
なぜ致命傷を負ったはずのユアンは、ガソリンで引火されたところでふいに立ち上がらなければならなかったのか。説話的な必然性が欠如しているからこそ、そのふいうちに思わず目を見開く。
タンの付き人が撮っていたユアンに似た人物が暗闇の中でこちらに視線を向けた不鮮明な画像。そのおぞましさは黒沢清を彷彿とする。
刑事ヤンが幾度となく発揮する、他人から撮られ、見られてしまうという特性の滑稽さ。
そして、大抵の作品で好ましい使われ方をされないドローンによる空撮が、全く嫌みのないやり方で多用されていることに、驚きと共に首肯せざるを得ない。
ここでのドローンは、ドローンで撮っているだけで新しい画が撮れていると錯覚しているあの間抜けな“ドローンの空撮”という使い方ではなく、ドローンという手段を用いた“より機動性の高いトラッキングカメラ”という認識で使われているのだ。
だからハンディカメラによるブレの画面が続くのに疲れる中で、滑らかに被写体をフォローし、接近するドローン・トラッキングショットに安心すら覚えるし、あくまで一つのトラッキングショットとして模範的にモンタージュされるショットのつなぎも実に心地よい。
果たして本作を超えるアクション映画が今年他に登場するだろうか。
いつ?どこ?だれ?何してるの?画面暗くてよく分からない映画
ストーリーはとても面白い。
エンドロールで知る、実話ベースだったとなると、なお面白い。
ただ、、、
画面が暗く、誰が何をしてるかわ分からない。
手持ちカメラで演者のアップベースなので、酔うし何してるか分からない。
時系列がごちゃ混ぜにだから、何してるか分からない。
迫力あるけど、何してるか分からない。
多分、大体のストーリーと演じている役者を知っていれば、もっと分かるのかるのかも知れません。同じ撮影方法でらよく知っている日本の役者なら、、、それでと分からなそう。
ただ、最後は帳尻があって意味が分かるので、そう思うと結構単純な話なのかもしれないですね。
とにかく、迫力と芸実性を求めたけど分かりにくい。
中国の検閲で公開が遅れたり、カットしなくては行けないシーンがあると話題性はあるけど、何してるか分からない。
犯人は意外?歴史も学べる
今の中国(台湾含む)のベースとなる内容
今の中国は完全にバブル状況で、日本のバブル期の勉強をしているらしいが、規模や数が莫大なだけにソフトランディングは…
人間関係も複雑だが、お金💰だけではないがあこまで行くと止められないんだと思う 一蓮托生というか一時期のlivedoor(ホリエモンの会社)を彷彿させる感が
今後の中国経済に益々注目したくなった
これはフィクション?ま、似たようなことはどこにでもあるが
(原題)风中有朵雨做的云
エネルギーの強い作品で、嫌いじゃない!
2020年日本公開決まっていたが、延期されてようやく。この完全版は中国公開時にカットされ、キャストからも削除されていたエディソン出演シーンを含まれてる。
ノワールの残虐性を思い知る
なかなか面白かった
ひとときも目の離せない展開が続くし、
いろんな意味でドキドキさせられる。
しかし、出てくる人間がほとんどクズ。
びっくりするくらいクズ。
みんな愛よりも肉欲で動いている気がして
あー人間だーって感じでした
ただし、気に食わない点がある。
最後、ヌルは捕まる必要あったんか??
どこまで残酷なんだ
「ザ・メニュー」的な感じで爽やかに終わっても良くないか?
クズの中から残された希望って感じでさ。
現実はそれを許さないのかね
ちょっとエンドロールは虚をつかれて笑ってしまった
なんだかんだいい映画でしたなーなんて思いそうになってしまったよ
あれも含めて全てが夢の中の皮肉ってことですよね
どこまでもブラックに描いておりました
ドキュメンタリー風サスペンス
最初はドキュメンタリーな感じが嫌だったが、徐々にサスペンス感が増して見応えあった。
韓国映画みたいなスリルはなかったが、どこか80年代の日本映画のような渋さがあった。
最後はお前か!!
ヤン刑事イケメンだった。
金と力と暴力と
2013年、広州の再開発地区で起きた立ち退きを巡る暴動の最中、転落死しているのがみつかった都市建設委員会のタン主任を巡る話。
刑事がタン主任と紫金不動産を洗い犯人を捜していくストーリーかと思ったら、1989年からの紫金不動産の面子のドロドロとした私生活をみせたり、まさかのヤン刑事もゲス野郎!?
終始暗い映像の中で、ある意味病んでいる人達の暗く重い過去をみせ続ける展開で、犯人捜しのサスペンスじゃなくて薄汚れた人達のドラマを愉しむチャイニーズノワール作品という感じ。
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