「瑞々しい普遍性」春江水暖 しゅんこうすいだん ようこさんの映画レビュー(感想・評価)
瑞々しい普遍性
願暁剛監督の長編デビュー作。
杭州市富陽を舞台に今当たり前のように移りかわろうとしている風景を若い監督が2年以上に及ぶ時間を費やし、堂々とした長回しで捉えた傑作。富春江という河が流れ、その町には三世代に渡って連帯してきた大家族がいる。その共同体における物語性も普遍的なもので、決して真新しくは無い。しかし、この場所を舞台に設定し、長い年月をかけて細部の変化を映り込ませることによって唯一無二の映画に仕上がっている。
最近の「ロング・デイズ・ジャーニー この夜の果てへ」を見た時も感じたが、長回しの映像でここまでの映画的な魅力を引き出すのはあの国の若い監督の瑞々しく堂々とした感性があの国そのものの風景と相性がいいからなのでしょう。
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