劇場公開日 2020年2月21日

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「恋は女だけでなく男も強くする」ダンサー そして私たちは踊った もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0恋は女だけでなく男も強くする

2020年2月23日
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鑑賞方法:映画館

ジョージア(コーヒーじゃないです)舞踏自体は素晴らしいものであろう。ただ、ここでは男は男らしく(踊る)、女は女らしくという旧態依然とした価値観の象徴としてメラブの前に立ちはだかる。メラブが決して女々しいわけではない。しかし、才能の有り無しではなく、本質的に彼の躍りは繊細さが無くなったここ50年のジョージア舞踏には馴染まないことを、鬼先生や父親は見抜いていたか感じていたのであろう。問題のある家族を抱え、電気代が払えないような経済状況にあり、監督の望むように踊れない日々の中で、メラブはイラクリと出逢い、初めて人を愛する喜びを知る。その喜びを前におのずと微笑んでしまうメラブのかわいいこと。好きになった相手が偶々同性だっただけなのに、ジョージアではそれは未だに由々しきこと。イラリクもメラブの愛に応えてくれるが、母親の面倒を見なければならなくなった彼はジョージアの因習(異性と結婚する)の中に戻っていく。失恋に泣くメラブだが、この失恋が彼に新しい道を選ばせる。その背中を押してくれたのが、ずっと家族の厄介者だった兄だったというのが巧いところ。伝統的なジョージア舞踏に訣別するためメラブは自分の部屋に貼ってある舞踏関係の写真を次々と剥がして行く。「千と千尋の」ポスターを剥がそうとして思い留まるところは、ジョージアでもジブリは人気なんだという発見と併せて日本人としては嬉しい。メラブの好きなものもちょっと解る小道具にもなっている。ラスト、

もーさん