「真実の終わり」ブレイム・ゲーム kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
真実の終わり
邦題がちょっと意味不明なため、直訳の方がいいんじゃないかな。冒頭のテロップでは「嘘を比較すれば真実が見えるかもしれない」というトロツキーの言葉。そのあたりの思想はわからないけど、この言葉そのものは面白い。まるで今の日本を見ているかのよう・・・
ドイツ連邦情報局内部とテロリストたちとの攻防。とはいえ、位置情報をCIAに流して、アメリカにドローン攻撃してもらうといった形なのだ。中央アジアの架空の国ザヒリスタンのテロリストでアメリカが追っていた男アル・バヒリ。その義弟にあたるマンスールがドイツの大使館にて入国しようとするが、その通訳を務めている男が主人公のマーティン。いくつもの名前を名乗ることから諜報員の一人だとわかる仕組み。序盤の展開は通訳を絡めて面白い展開を見せるのですが、あっという間に恋人を無差別テロによって亡くしてしまったマーティン。独自に調査するも、局内では厄介者扱いされていくのだ。
裏にはザヒリスタンとの武器輸出禁止があり、それを停止しようとする一派が存在。そしてその裏には巨大産業による武器商人が存在するといった構図で、ドイツ国内でのテロにより世論を誘導するという動きもある。
マーティンはラッセル・クロウ似でアクション向きではない雰囲気。ちょっと好感も持てるのだが、民意は全く無視して、恋人の復讐や己の正義だけでストーリーが進むのだ。内部にはもっと悪い奴がいることを告発しようとするものの、いけずな新上司と和解し、ザヒリスタンの会議出席のため危険な方向へと誘ってしまう。そして最後には・・・
目には目を。毒を以て毒を制す、嘘を以て嘘を制す。上手く言えないけど、こんなことが情報局で行われてるとなれば、リアルにテロに遭う一般庶民はどうなるんだ・・・と、虚しくてしょうがない。