「ネタバレ無し!上質な王道サスペンス」ナイル殺人事件 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
ネタバレ無し!上質な王道サスペンス
これぞ!というほど王道な空気漂う密室サスペンス。原作はアガサ・クリスティー、監督はリドリー・スコット、そして豪華な俳優陣と豪華絢爛な絵面に終始圧倒されること間違いなし。
トップガンマーヴェリックでも思ったけど、こういうスケール感とワクワク感こそが映画だよなあ!という感じでたまにはこういう王道を接種しないと駄目ですね。映画レビュワーとしては特に!
主人公もイケメンだの天才少年だのじゃなく、原作通りのおっさんなのが良い。大体現実的に考えるならば人生経験豊富で落ち着きの有るある程度お年を召した大人が探偵という職業をやっているのは非常にリアルだと思う。そもそも若い人間ならもっと他に食える職業を選ぶべきだし、人から何かを聞き出すという点でも年上の方が上だろう。
本作の主人公は元軍人だったが、そういう背景で年金暮らしのバックボーンなんかが有る方がよりリアリティも有る。主人公がおっさんだからこそ甘酸っぱい恋とかそんな甘えも無く純粋に全てを俯瞰して見渡せるというもので、だからこそ主人公の探偵の方に妙に気を取られることはなく、他の登場人物たちに目が行くのだ。
そして肝心のサスペンス要素も凝っておりまして、こいつしか居ねえだろ!という部分からの飛躍が素晴らしい。それで結局誰も信用出来なくなり、そうなったところで主人公がまとめ上げる。しかもその際にはちゃんと銃を持っているんです。時代背景とか元軍人である設定とかも相まって、この部分で探偵が少し牙を剥くというのも現代を舞台にした作品では無さそうで面白い。
当然解き明かすまでは全員が犯罪者予備軍でありますから、そんな彼らに対し自衛の意味でも話を聞かせる為の拘束の意味でも銃は必要になってくるわけです。言葉で説き伏せるという探偵の固定概念を覆すような、いやむしろ殺人犯を相手にする事が多い職業なのですから当然とも言える探偵の武器使用は僕ら世代からすると新鮮でカッコよかったですね~。
もうね、日本人もこういう王道で美しい映画を作るべきです。しょうもないジャニーズとかのドや顔演技は辞めにしませんか??
洋画ってほんと素晴らしい。