劇場公開日 2022年2月25日

「現代を反映した愛憎渦巻く人間模様」ナイル殺人事件 みかずきさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0現代を反映した愛憎渦巻く人間模様

2022年2月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

本作は、アガサ・クリスティの「ナイルに死す」の再映画化であり、現代社会を反映した人種差別、ジェンダー問題、逞しい女性などの要素を盛り込んだ、名探偵ポアロの活躍で難事件を解決する推理サスペンスと濃密な愛憎劇をブレンドした作品になっている。推理サスペンス部分の肝である、事件関係者、容疑者との会話劇も穏やかで知的なものではなく、愛憎渦巻く激しく動的なものになっている。赤裸々で生々しい作品に仕上がっている。

本作の舞台は1930年代のエジプト。ナイル川クルーズ中の豪華客船内で新婚旅行中の大富豪の娘リネット(ガル・ガドット)が殺害される。彼女の夫サイモン(アーミー・ハマー)との結婚を祝福に来た乗客全員が容疑者であり、リネットに招かれた名探偵ポアロは、乗客から緻密な事情聴取をし、次第に事件の真相に迫っていく・・・。

前半は、サイモン、彼を奪われたジャクリーン(エマ・マッキー)、彼を奪ったリネット、が織り成す生々しく赤裸々な愛憎劇が展開される。定番の展開であるが、恋敵の二人の女性を演じる女優の妖艶さと愛への執着心を強く感じさせる目力に凄味があり、只ならぬ雰囲気を醸し出している。不穏な未来を暗示している。

後半は、本作の売りである本格的な迫力ある会話劇であるが、真相究明だけに絞り込まず、現代に通じる要素を盛り込んだ乗客たちの人間模様を浮き彫りにすることで、現代感覚溢れる作品に仕上がっている。

本作は、有名で古典的な原作の再映画化作品である。原作は変えられないが、原作を映画化した時代背景や雰囲気を作品に反映すれば、作品は色褪せることはない。二番煎じになることはない。その時代の背景や雰囲気が作品を新鮮にしてくれる。1978年公開の前作も面白かったが、本作も前作とは異なる味わいがあって面白かった。また映画化されれば、また観に行くだろう。その時代の背景や雰囲気を反映した異なる味わいの作品に出逢えるからである。

みかずき
ごーるどとまとさんのコメント
2022年3月10日

みかずきさん、コメントどうもありがとうございます。
決して二番煎じなどとは申しておりませんよ。おっしゃる通りジェンダーや人種など現代の視点を取り入れ多様性へ配慮して作られていますね。それならば思い切って時代を現代にしちゃた方が納得できたかなと思います。あの時代のままだと少し無理があるように感じました。感じ方も人それぞれ多様で良いですよね。
今後ともよろしくお願いします。

ごーるどとまと
こころさんのコメント
2022年3月9日

みかずきさん
コメントを有難うございます。
アガサ・クリスティの小説は、心の内に抱えた深い恨みや妬みによる事件が、シビアに描かれている事が多く、読んでいるうちに怖くなり、結果数冊しか読んでいませんが、映画化されている作品は華やかな要素もあり、受け入れられ易いような気がします。
昨年、NHKで放送されたアガサ・クリスティのドラマ(制作イギリス)を全て観たのですが、結構怖かったです。。
本作「ナイル殺人事件」、見どころが結構有り、楽しめました (^^)
こちらこそ宜しくお願いします。

こころ
満塁本塁打さんのコメント
2022年3月9日

コメントありがとうございました😊😭。勉強になります。1978は未見ですが、邦画で言えば「砂の器」「幸福の黄色い・・」「二百三高地」洋画だと「タワーリングインフェルノ」「ジョーズ」「ロッキー」等と被るというより、それ以後ですから、推測で浅薄で申し訳ないですが、VFX CGなどの特殊効果除けば映画技術は完成してたはずで、それはそれで味があると思います。映画は当時から斜陽産業だったでしょうが、それでも今と比べれば活気があって、懐かしいです。「席取り」大変でした。人気映画の封切りは「立ち見」も当たり前でしたし・・・・コレからもよろしくお願いいたします🙇‍♂️ありがとうございました😊😊。ジェンダーと肌の色の平等は流石に理解してますが、どの作品でも「右に倣え」はチョット・・蛇足ですみません。失礼します。🙇‍♂️

満塁本塁打
みかずきさんのコメント
2022年2月28日

LaLaさん。こんにちは。
みかずきです。

早々のレスありがとうございます。
こちらのサイトでも宜しくお願いします。

本作、再映画化作品ですが、
ジェンダー、人種、女性活躍など、現代社会を反映した要素を上手に取り入れていたので、1978年公開の前作とは味わいが異なっていました。
再映画化作品のお手本のような作品でした。

では、また共感作で交流しましょう。

みかずき
LaLaさんのコメント
2022年2月27日

ケネス・ブラナーのポワロ
後半の会話劇(推理)も凄かったですね。

悲しいのは、親友という言葉
ジャクリーンがリネットにサイモンを
会わせる目的が、怖いし
どうしても、そこに注目してしまって

大富豪のリネットが
抱えている悩みや不安を
ポワロにうちあけるシーンも
切なかったです。

>現代に通じる要素を盛り込んだ
乗客たちの人間模様を浮き彫りにすることで、
現代感覚溢れる作品に仕上がっている。

乗客達の人間模様も
細かく表現されていましたね。

友人 ブークを問い詰めるポワロ
少々、うかつだとも思いましたが
次への展開ですものね・・・

>二番煎じになることはない。
その時代の背景や雰囲気が作品を新鮮にしてくれる

同感です。
次は、地中海かも・・・
ポワロのラストのシーン
お髭は・・・・・?

LaLa
LaLaさんのコメント
2022年2月27日

みかずきさん
早速、鑑賞されたのですね。
このあと、鑑賞して参りますね。
先に、共感を押させて頂きました(^^ゞ
では、また・・・

LaLa