「王道だけどベタすぎる」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
王道だけどベタすぎる
ミステリーの王道だが、ベタすぎて先が読める内容だった。
ヒロインが実は犯人ではなかった、助けてくれるイケメンが真犯人、遺産相続もめごと・・・ミステリーのあるあるだからかなり前半でネタバレしてしまう。あっとおどろくトリックも無かった。
キャストは豪華だがわざわざ大作映画にする内容ではないと思った。
前にも書いたがミステリーは2時間の映画には向かないのではないか?
ミステリーを楽しむにはある程度の情報(人物背景やミスリード、トリックの説明)が必要で、小説なら読者のペースで読めるし、情報を繰り返し説明出来る。けど2時間の映画では観客に与えられる情報に限界がある。人物紹介も綿密に出来ないし、観客をミスリードさせるエピソードにも時間を割けない。映画を長時間にしたところで観客の集中力がもたないだろう。このキャラの動機って何だったっけ?という具合に内容が入りにくい。
後半の謎解きも探偵がひたすら喋るだけの後説明にしか感じない。なぜなら探偵が謎を解く思考のきっかけを説明できないからだ。魔法使いよろしく知り得た情報を説明するだけになってしまう。
映画には映画向きのミステリーがあるのではないか?
市川崑の金田一ものはミステリーより、暗い情念やおどろおどろしいビジュアルで観客を引きつけ、悲しい人情物として完結させていたから映画として楽しめたのだろうな。