「泣いたけど「泣ける映画」とか言いたくない」光を追いかけて 豆乳メンタルさんの映画レビュー(感想・評価)
泣いたけど「泣ける映画」とか言いたくない
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秋田の先行上映で鑑賞しました。席数は150席くらいだったかと思いますが、満席でした。
まるでドキュメンタリーのような印象で、セリフや行動がとてもリアルでした。
序盤は閉塞感のある過疎化していく町のやりとりを繊細に表現しています。
ところが、何もなかった町にミステリーサークルが出現してからは、主人公や町の人に変化が起きて人々の心はぶつかり合いながら一つになっていきます。
その過程で起こる登場人物の感情の起伏にカタルシスを感じられ、非常に没入感がありました。
最後は黄金色に輝く田園風景がどこまでも広がる希望の光にも見えました。
特に真希の民謡が良かったです。
監督がインタビューで「故郷の秋田に恩返ししたい」と仰っていましたが、
秋田のための映画でありつつ、非常に普遍的な課題をテーマにしており、特に地元に嫌気をさして上京してきた人にとっては望郷の念を感じさせる作品になっているかと思います。
商業映画でよくある、数字取りのためにイメージに合わない俳優を起用したり、お涙頂戴的なものとは対極の映画だと感じました。
作品作りのモチベーションはピュアであればあるほど良いものが出来上がるのだなと思いました。また、CM業界出身のスタッフの高い技術力によって、美しい映像になっています。
星4.5にしたのは内容の素晴らしさをタイトルが表現しきれていないと感じたからです。
音楽は一つ一つは素晴らしいのですが、映画の世界観を表す一枚のアルバムのような一貫性があるとさらに良いと思いましたが、こちらは粗探しに近いかもしれません。
この映画を観て地元が恋しくなりました。
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