劇場公開日 2020年3月7日

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「ディスコミュニケーションが「分断」をもたらす」わたしは分断を許さない regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5ディスコミュニケーションが「分断」をもたらす

2020年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

知的

フリージャーナリストの堀潤が、東日本大震災後の福島をはじめとする、シリア、パレスチナ、朝鮮半島、香港、沖縄など、国内外の様々な社会課題の現場で生まれた「分断」をテーマに取材。
一番大きいのは、堀自らカメラを持ち現地取材を敢行している点で、単にスタジオ席にふんぞり返って偉ぶるだけのキャスター(アンカーマン)やコメンテーターと違う。
「分断」の理由は多々あれど、突き詰めていけば人同士のコミュニケーション齟齬、いわゆるディスコミュニケーションが大きいのではと思わせる。
劇中で安田純平が語る、日本国民が他国事情に関心を示さない見解が痛いところを突く。これも一つの「分断」なのかも。
シリア内紛は『プライベート・ウォー』、難民問題は『ヒューマン・フロー 大地漂流』などと併せて観ると、事の起こりがより理解できると思う。

元々NHK出身だけあってか、構成が『NHKドキュメント』を思わせる作りで、映画というよりテレビ番組を観ている感覚になる。でも扱っているテーマ的に、今のテレビメディアでは取り上げにくい。
映画という“表現の自由”を使い、堀は「分断」を埋めようと試みる。

regency