劇場公開日 2020年7月17日

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「良い映画が大抵そうであるように、コメディではないのに笑えるし、ダレない」悪人伝 Nightmare?さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0良い映画が大抵そうであるように、コメディではないのに笑えるし、ダレない

2023年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

刑事とヤクザが組んで殺人鬼を追うという、あり得ない話なのだが、「ヤクザも刑事もやってること似てるよね(クスッ)」。しかもヤクザの動員力といったら、警察なんて遠く及ばない。
好青年を演じることが多いキム・ムヨルがやさぐれた刑事。マ・ドンソクは…いつもの変幻自在ぶりながら怖いけど憎めないヤクザのボス。この二人をキャスティングした時点で、もういい作品になるに決まってる。特にマ・ドンソクは、彼じゃなければ映画が全然違う方向に行ってしまったことだろう。キム・ムヨルも無頼ぶってはいるもののちゃんとスジを通す人なのだと、人柄から滲み出てる。キム・ムヨルがあの感じじゃなかったら、ヤクザとの関係の変化をどこかで入れなければならなかっただろうから、自然なストーリー展開にならなかっただろう。
刑事たちとヤクザたちが一緒に酒を酌み交わすシーンは、色々と味わい深い。ほっこりする。荒くれ者たちなのにね。
あるトリガーによって、彼らは本格的に犯人を追い詰め始めるのだが、そのトリガーが情緒的で、「そりゃあ本気になるだろう」と思う。ヤクザといえど、血も涙もないケダモノではない、ということだろう。いや、悪いことはいっぱいやってますけどね。
前編全くダレ場がないのは素晴らしい。バイオレンス・アクション、カーチェイス、どれも素晴らしい。ダレそうな時間になると、マ・ドンソクが他のヤクザを張り倒したりして、笑いの間を作ってくれる親切設計。暴力もマ・ドンソクならみんな許せるって……どんな才能なんだ。

Nightmare?