「抜群のプロット」悪人伝 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)
抜群のプロット
プロットが抜群にいい。暴力刑事が直観で無差別連続殺人が起きていると感じ独自の捜査を開始。一方で、ヤクザの組長がその犯人に偶然遭遇し、刺されてしまう。連続殺人事件唯一の生き残りで犯人を目撃した者が、ヤクザの組長という発想が素晴らしい。刑事と組長は協力することになるが、組長は自分の手で復讐したい、刑事はきちんと生きたまま捕まえて法の裁きを受けさせたい。だから、協力はしても互いを出しぬこうとも考えている。これが物語をスリリングにしている。一方で、2人が共に知る人物が犠牲になると、互いに通じる部分があるとも感じてしまう。
悪と悪の食い合い、みたいな話なわけだが、悪の種類が豊富なのがポイントだ。快楽のために人を殺す連続殺人犯は、ヤクザの組長や暴力刑事とは異なる、どす黒さが一段と深い悪という描かれ方で、悪のレイヤーを提示しているのが面白い。
ラストの決着のつけ方も、唸らされた。韓国映画の力を強く感じさせる作品だった。
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