「マ・ドンソクの凄みある笑いに震撼しつつ快哉を叫ぶ」悪人伝 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
マ・ドンソクの凄みある笑いに震撼しつつ快哉を叫ぶ
主演作が10本を超える韓国のトップ俳優マ・ドンソクにとって、代表作の一本に加わるのは間違いない。丸顔で強面でマッチョで演技派、という資質は世界のスターを見渡してもかなりレアな存在ではないか。屈強な刑事や犯罪者といったルックス通りの恐いキャラクターから、コミカルな役どころまで幅広く演じ切り、マブリー(マ+ラブリー)なんて愛称まである。
刑事と犯罪者のあり得なさそうなバディをコミカルに描く作品は多々あれど、本作の妙味は、ギャングの首領ドンスとはみ出し刑事テソクが連続殺人鬼を追うという利害の一致から共闘しつつも、常に出し抜く機会を狙うことで、予定調和でない複雑なバディ物になっている点。
展開はスピーディーで、バイオレンス演出もケレン味たっぷり。ラスト近くでドンソクが凄みの効いた笑いを浮かべるショットには、震えあがりながらもウォーッと雄叫びを上げていた。韓国発スリラーの新たな傑作だ。
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