フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のレビュー・感想・評価
全204件中、61~80件目を表示
エスプリを纏った全てのカットがとにかく饒舌、圧倒的な情報量を受け止める集中力が試される贅沢な作品
物凄く贅沢な作品。編集長の急死で突如廃刊となった雑誌フレンチ・ディスパッチお抱えのライター達による記事をベースにしたオムニバスという体ですが、ほぼ全編がスタンダードサイズの映像の中に収まっているいかにもフレンチなエスプリを纏った全ての映像がとにかく美しい。映像そのものがセリフや文字よりも饒舌なのでそれを全部受け止めようとしてもダラダラこぼれ落ちてしまいます。キャストがとにかく豪華であるのももちろん眼福、特に超絶ツンデレ看守シモーヌを演じるレア・セドゥーの突然の登場には顎が外れるくらい驚きました。エンドロールに大工と塗装工のクレジットが夥しいのも印象的で豪華絢爛なセットが組まれたことが窺い知れます。
真面目に字幕を追っていると置いてけぼりを食らう圧倒的な情報量の作品なので、とにかく眼球を剥いて映像に向き合いましょう。どうせ1回では受け止め切れないので気に入ったら何度も観ればいいと思います。
アートな映像とノリノリのリズムが好きだった
これは好きだ。「グランド・ブダペスト・ホテル」よりはるかに好きだった。ウェス・アンダーソン作品で一番好きだ。
フレンチ・ディスパッチ誌の編集長が亡くなり、遺言により廃刊が決まった。同誌の個性あふれる編集者たち、そして最終刊の内容を映像化した。
アートな映像とノリノリのリズムがたまらん。
悪のりしてしまった。
ベニチオ・デル・トロとレア・セドゥのエピソードが好きだった。SなフルヌードのセドゥにM心が揺れた。
マクドーマンドとシャラメの交わりは想像したくなかったかな。
置いてけぼり感が半端ない〜〜(笑)
いつもながらのウェス・アンダーソン監督の
センスとこだわりがこれでもか!と詰め込まれた本作。
色も造形も美しく、画面の中の情報量が半端なくて
それを追っかけていると流石にちょっとクラクラします。
うっかり観てると置いてけぼり感が半端ない〜〜(笑)
一つの物語というよりは雑誌記者あれこれと言う
オムニバスだと思って観ていただくと多少観やすいかも〜
で、月に8本ほど映画館で映画を観る中途半端な映画好きとしては
ところどころ、監督、またそんなとこにエネルギー使いすぎ!!
と苦笑いしてしまいました。
特に川から網で掬ったうなぎの稚魚のウニャウニャ!
「犬ヶ島」のときと一緒じゃん!
そのアップいる??
と突っ込み入れてしまった。(笑)
今回は監督の雑誌愛、
インターネットが普及するまでは
様々な文化の最前線の情報は雑誌が頼りだったわけで
今、資本主義の社会で衰退してゆく雑誌文化。
ビル・マーレイ演じる編集長の死は、
経済や効率優先の中で失われつつ様々な文化的な物事への
アンダーソン監督の危機感に思えます。
また、私はあまり解らなかったけど
フランスの様々な名作映画への
オマージュやリスペクトが多数織り込まれていて
それに乗せて政治への批判も込められている感じです。
映画の中でティモシー・シャラメが幾度も
「筋肉が恥ずかしい」と呟くのです。
写真で観た感じでは監督も若い時から
細っぽい青年だったのは?と想像できます。
知的なものを愛するあまり、
肉体のリアルを忘れてしまいたいのかな?
複雑な監督ですよね〜〜
私の様な凡人には理解できません。
おもちゃ箱のような世界
整然と構成された構図と幾何学的なカメラワーク、ポップでパステル調な色彩設計、飄々とした表情の人物たち、シュールでシニカルな事象。正にW・アンダーソンにしか作りだせない世界観が構築されている。
物語は「フレンチ・ディスパッチ」の編集部に集う人々の日常を起点に、彼らが書く原稿を再現した劇中劇で構成されている。編集部のシーンは軽めの描写に終始し、本作のメインとなるのは再現ドラマの方である。
序盤に紹介される自転車のレポートをプロローグとして、全部で3つのエピソードが登場してくる。
1話目は、殺人罪で収監された画家と美術商、絵のモデルとなった女性看守の物語である。いわゆる現代アートとは何ぞや?という皮肉が込められているような物語で、そこをW・アンダーソンが持ち前のアーティスティックな感性で描いている所が面白い。モノクロとカラーを使い分けた映像も刺激的である。
2話目は、学生運動のリーダーと彼に恋する女性活動家、それを取材する記者の愛憎渦巻く関係を描いたロマンス劇である。記者の実体験という形で書かれる逸話だが、明らかに”五月革命”を想起させるあたりが興味深い。W・アンダーソンは当時の闘争を茶化すかのように軽妙に描きながら、革命は所詮「夢」に過ぎなかったということをメルヘンチックに描いている。
また、当時のフランス映画界と言えばヌーベルヴァーグである。これまでW・アンダーソン作品でそれを意識したことはなかったが、今回のこのエピソードにはそれが強く感じられた。例えば、バスタブに入って煙草を咥えながらメモを書く活動家リーダーは、ジャン=リュック・ゴダールの「気狂いピエロ」のジャン=ポール・ベルモンドを連想させた。あるいは、彼に恋する女性活動家のコケティッシュな造形などはゴダールのミューズ、アンナ・カリーナにどことなく雰囲気が似ている。
3話目は、美食家の警察署長とお抱えシェフが誘拐騒動に巻き込まれるアクション・コメディとなっている。本来であれば凄惨になってもおかしくない話だが、ユーモラスなアニメーションを交えながら屈託なく描いており、これまた唯一無二な快作となっている。
特に、クライマックスとなるカーチェイス・シーンは、過去にも「グランド・ブタペスト・ホテル」で似たようなことをやっていたが、氏のサイレント映画に対する敬愛が感じられた。
それぞれの話には関連性がなく完全に独立しているため、映画全体を通してのテーマやメッセージと言ったものは感じられない。そのため確かに物足りなさも残るが、軽い気持ちで観る分には十分に楽しめるエンタテインメント作に仕上がっている。ヒューマン、ロマンス、コメディ、サスペンス、アクション。様々な要素をまんべんなく盛り込んでいるので、上映時間約100分という短さながら意外に濃密な映画体験をすることが出来た。画面の情報量の多さも特筆すべきで、2度、3度観て楽しめる映画ではないだろうか。
「雑誌」の映画化
中々に長いタイトル、雑誌の表紙のようなポスターに惹かれ遅れながら鑑賞。
中々楽しめた作品でした。アカデミー賞に何部門かノミネートされるのかな?と思いつつ先日の発表を見ていましたが悉く外れており残念。撮影賞あたりはとっても良かったんじゃないかな…
まぁともかく今作とっても斬新な雑誌の映画化ということで、記者の書いたコラムを実写の映像に、4コマ漫画のような絵はアニメにするなど、随所に拘りが感じられて楽しかったです。
ウェス・アンダーソン監督作品は初めて鑑賞しましたが、撮影の仕方が超個性的で驚きました。とにかくキャストを真正面から撮っているシーンが多くて、良い意味で狂ってるな〜!と思いました。真正面からブレずに撮ることによって役者の表情の変化が逐一分かりますし、たまに斜めや横の画角で撮るときに新鮮味を感じられたのも良かったです。
1番面白かったエピソードは「芸術家」のコラムで、現代と過去を行き来しながらテンポよく物語をナレーションベースで進めていく短編です。過去パートではバラバラ殺人だったり、囚人による復讐が行われているなど、文章面ではおっかない事が起きているのですが、割とコミカルに描いているおかげか、そのシーンに特別嫌悪感を覚える事はなく、そんな事があったのか〜と軽く見れてしまうのも今作の面白さの一つだと思います。あと今作、特別な指定とかはなくGのまま公開していますが、女性の役者の方の乳首は丸出しですし、股間部分も遠目とはいえ映っているのにも衝撃的でした。未成年が少し車を運転する映画にはPGをつけるのに、おっぱいぼろーんには何も指定つけない映倫さんに思わず笑ってしまいました。この囚人ながら確かな才能に溢れる人間をコミカルに描くことによって残虐性を見事に中和しているのもお見事でした。他の3篇の映画も面白かったですが、1番印象に残ったのはこの作品でした。
正直、置いてけぼりにされそうなシーンも多々ありましたが、なんとかしがみつく事によって面白さの分かる、そんな尖りまくった作品だなと思いました。監督の過去作もたくさん見てみたいと思い、良い収穫でした。
鑑賞日 2/8
鑑賞時間 15:40〜17:40
座席 G-12
ここはどこ
映画館の大きな画面で見る楽しさもあるし、配信で止めながらみる楽しみもある。
ちょこちょこいいシーンがあって、雑誌をパラパラめくる楽しさと同じ。次のシーンが楽しみになる。世界観に入るまでに時間がかかった。
エリザベスモスがなんでもない役でもったいない。ビル・マーレイよい味。
ティモシーシャラメの横で原稿書きたい。
NO CRYING
国際問題や政治、アートにファッション。
様々なジャンルでクセのある唯一無二の記事を出してきた雑誌、フレンチ・ディスパッチ。
しかし編集長が死去し、彼の遺言で廃刊が決まる。
編集長の追悼号及び、フレンチ・ディスパッチの追悼号となった最終号。
編集者たち思い思いの個性的な記事の全貌とは。
久しぶりに難解な映画を観た。
雑誌一冊をそのまま映画にしたような、アーティスティックで唯一無二な世界観。
情報量の嵐にかなり疲れて所々でウトウトしてしまったのが悔しい。
アートとするにはストーリーがしっかりあるし、映画とするには映画の枠にハマりきらない。
豪華キャストの贅沢な無駄遣い、シュールで美しい各エピソード、カメラワークや色彩感覚などの技巧を凝らした映像表現。
長く感じる割に楽しくて物足りなさもある、遊園地のような映画だった。
大きく分けて3部構成。
それぞれ感想を。
〈確固たる名作〉 文=J.K.L・ベレンセン
3つの中では分かりやすくて、1番好み。
モノクロからカラーへの転換部分など、センスが溢れ出てる。
ベニチオ・デル・トロとレア・セドゥ、間違いなくMVP
レア・セドゥ本当に綺麗だった。
囚人と看守の奇妙な関係性ずっと観てたい。
〈宣言書の改訂〉 文=ルシンダ・クレメンツ
もう既にだいぶ頭を使っていたのもあって、3分の1くらいウトウトしてしまった…
記者のマクドーマンドと運動家のティモシャラが親密な関係で…くらいしか認識出来てないので、ここだけでも観直したい。
〈警察署長の食事室〉 文=ローバック・ライト
絵に描いたような(いや、実際に絵に描いた)ドタバタ劇。
途中からアニメーションにしちゃうという斬新さにやられた。
ジジ誘拐と同時にネスカフィエが謎の儀式を始めたのが個人的ツボ。
ウィレム・デフォーやシアーシャ・ローナンの無駄遣いもお見事。
極上チョコトリュフ3個セット
アメリカで雑誌が時代の潮流をつくっていたころの舞台裏がコミカルかつシニカルに描かれていて、雰囲気の分かる方には愉しい作品だと思う。
私は三つのストーリーのうちの1と2、特に、1のモダンアートをめぐるストーリーがツボった。そしてTスウィントン姐さんも良かったけど、レア・セドゥさんのフルヌードのシーンに唸った。合成にしては本当っぽいと思って見ていたら、ご本人の体。ギリシャの女神の彫像のようで全くいやらしさがなく、これが芸術的なヌードだよと思った。
アンダーソン監督のアーティスティックなセンス溢れる作品!
映画=芸術作品だという側面にこだわった作品だと思う。
まず、
スクリーンを平面ととらえるか、その奥に広がる3次元の空間ととらえるかで、これほど画面のビジュアルが違うものなのか…と、新鮮に驚いた。
今どき流行のVFXを駆使した仮想空間とは正反対!
細部にいたるまで作り込まれたセット、計算された画面の構図、それらすべてがどの場面を切り取っても、グラフィックアート!
写真集の1ページ、イラスト集の1ページとなり得る完成度だった。
しかも、
画面に変化をつけるため、アニメーションやイラスト、劇中劇などがうまくはさみ込まれ、それがまたそれぞれにセンスがいい!という凝りよう。唸るー
ストーリーもユーモアとシニカルがうまく混ざって奥深く、それを演じる豪華な俳優陣もさすがの演技だった。
ただ!
セリフとかナレーションとか、とにかく文字が多い!
字幕に気を取られるのがもったいなかった。
デザイン、芸術系の学生さん必見!
たまには、こういう映画もいいよね…
オシャレ・アート・サブカル みたいな色眼鏡はいらない
ウェス・アンダーソンらしさ、みたいなものからさらに一皮剥けた印象。圧倒的な画力。その背景にもはや狂気的な執念すら感じる。ここまで「画面」を徹底的に作り込む映画はそうない。
短編オムニバスを「雑誌」としてまとめる体裁や、色彩感覚などは間違いなく洒落ているのだけど、これを「オシャレ〜」みたいに表層的に受け止めてしまうと、作品が死ぬ。各話のシナリオもかなりしっかりしていて、決して画力や演出ばかりが先走る作品ではないので、まとまりがとても良い。とりとめもない「パルプフィクション」的な、小咄みたいな軽薄な内容も素敵。
映画館で見ないと価値半減どころじゃない。スクリーンはデカければデカいほどいい。
キャストの豪華さも、とても楽しくて良いです。
小洒落感に臆せず、おっさんも見てみよう。
子供にも、とてもいいと思う。
見所はレア・セドゥーの
雑誌を視覚化して特集記事のぺージをめくるような構成は面白かったけれど、どの記事も今ひとつ僕にはハマりませんでした。好みの問題だとは思いますが。
しいていえば最初の特集記事が一番かな。見所はレア・セドゥーの美しいヌードと制服姿。ごちそうさまでした。
好き好き
画面の中の情報量が多くて これはおかわり確実映画
構成のためかページのボリュームで章の時間も配分されてるのかな
個人的にはレアセドゥとデルトロの所が好きねぇ
キャストが豪華なのにクドくないのは 人によっては薄口に思えちゃうかもな
ヌードモデルがレア・セドゥーな事にビックリ。 あとは話が全く入って...
ヌードモデルがレア・セドゥーな事にビックリ。
あとは話が全く入って来ませんでした。
犬ヶ島もそうでしたが、この監督とは合わないみたいです。
ああカン違い
アメリカ人がフランスで創刊した、週刊新聞が、世界的な新聞・マスコミ離れの影響で廃刊を決定。最後に、ライター、編集者らがその意地を見せようと、総力で取材にあたり、秀逸な記事を載せる。廃刊するな、との読者のエールを得ながらも、いさぎよく終末を迎える…。
長年、マスコミで働いてきた僕は、そんな内容に惹かれて、一度では覚えられない題名のこの映画に強いシンパシーを覚え、映画館に足を運んだ。
だが、しかし。
映画は、『フランスの架空の街アンニュイに編集部を置く新聞が、廃刊することになり、最終号に掲載される記事内容と共に、編集長が存命だった時の編集部の様子を加え、大きく4つのエピソードに分けてオムニバス的に、コミカルかつシュールに描いていく』(一部Wikipediaからコピペ)―というものである。
コミカルかつシュールで、小粋っていうテーストかな。
「これって、面白いって言わないといけない映画なんだろうか」「あの映画クソだった、と言ったら白眼視されるのか」―などと、最後まで思いながら見た。
これ、オムニバス的に描いて、だれが感情移入できんだろうか…。
僕の感想は、★の数のとおり。
ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、フランシス・マクドーマンド、そして、ビル・マーレイとハリウッド通でもない僕でも名前と顔が一致する大物多数が登場する映画。彼ら、彼女らも「素晴らしい作品。(監督) ウェス・アンダーソンの作品なら喜んでる出る」とかもろ手を挙げて、出演したんだろう、きっと。
全編に漂うコミカルかつシュールで、小粋っていうテーストに感じられる人には、素晴らしい映画だろうが。僕にはちょっと…という作品。
作中、見事なヌード、ヘアヌードをさらしているレア・セドゥを初めて認識したが、そのアッパレな縁者魂には感服した。調べると、彼女、かなりの富豪の血筋とか。
日本にはこんな演者、ほとんどいないよね…。
それを知っただけでも、収穫のあった一本と言っておく。
城東地区の映画見巧者が集まる、錦糸町のシネコンは本作でも、そこそこの入り具合。結構な話である。日本ではヒットせんだろうけど。日比谷シャンテか、シネスイッチ銀座でやっておけばよいものを。
読み応えのある映画
本作はビルマーレイ演じる編集長が亡くなったことで廃刊が決まった雑誌の追悼号、廃刊号を作るため、個性的な編集者が奔走する物語。
本作はどのシーンを切り取っても一枚の絵として成立するほどこだわり抜かれていて視覚的な情報量はもちろん、ナレーターとして伝えられる実際の記事になりうるほどのセリフの量で鑑賞後のやり切ったとも感じる達成感は唯一無二であると言える。
モノクロなのにカラフルで淡々としているのに情緒的なシーンの連続に素人ながらに芸術性に富んだ作品だと感じる映画だった。特に「確固たる名作」でのベネチオデルトロとレアセドゥのフランス語での高速やりとりには目を見張るものがあった。
ウェスアンダーソン監督の映画はこれまで観たことがなく、本作のどのジャンルとも言えないストーリー、色使い、個性的なキャラクターに今まで味わったことのないジワジワとした穏やかな感覚を抱いた。とても読み応えのある映画だった。
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン...
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」フランスと雑誌とアートへのウェスの愛情がフルスロットルで爆走する傑作。すべてのカットが美味しすぎて、完璧でひたすら楽しかった。ウェスが好き勝手やってるけど、決して独りよがりにはなっていなくて、観客それぞれが愛したカルチャーへの思いを馳せることができる普遍的な物語です。
全204件中、61~80件目を表示