「「雑誌」の映画化」フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
「雑誌」の映画化
中々に長いタイトル、雑誌の表紙のようなポスターに惹かれ遅れながら鑑賞。
中々楽しめた作品でした。アカデミー賞に何部門かノミネートされるのかな?と思いつつ先日の発表を見ていましたが悉く外れており残念。撮影賞あたりはとっても良かったんじゃないかな…
まぁともかく今作とっても斬新な雑誌の映画化ということで、記者の書いたコラムを実写の映像に、4コマ漫画のような絵はアニメにするなど、随所に拘りが感じられて楽しかったです。
ウェス・アンダーソン監督作品は初めて鑑賞しましたが、撮影の仕方が超個性的で驚きました。とにかくキャストを真正面から撮っているシーンが多くて、良い意味で狂ってるな〜!と思いました。真正面からブレずに撮ることによって役者の表情の変化が逐一分かりますし、たまに斜めや横の画角で撮るときに新鮮味を感じられたのも良かったです。
1番面白かったエピソードは「芸術家」のコラムで、現代と過去を行き来しながらテンポよく物語をナレーションベースで進めていく短編です。過去パートではバラバラ殺人だったり、囚人による復讐が行われているなど、文章面ではおっかない事が起きているのですが、割とコミカルに描いているおかげか、そのシーンに特別嫌悪感を覚える事はなく、そんな事があったのか〜と軽く見れてしまうのも今作の面白さの一つだと思います。あと今作、特別な指定とかはなくGのまま公開していますが、女性の役者の方の乳首は丸出しですし、股間部分も遠目とはいえ映っているのにも衝撃的でした。未成年が少し車を運転する映画にはPGをつけるのに、おっぱいぼろーんには何も指定つけない映倫さんに思わず笑ってしまいました。この囚人ながら確かな才能に溢れる人間をコミカルに描くことによって残虐性を見事に中和しているのもお見事でした。他の3篇の映画も面白かったですが、1番印象に残ったのはこの作品でした。
正直、置いてけぼりにされそうなシーンも多々ありましたが、なんとかしがみつく事によって面白さの分かる、そんな尖りまくった作品だなと思いました。監督の過去作もたくさん見てみたいと思い、良い収穫でした。
鑑賞日 2/8
鑑賞時間 15:40〜17:40
座席 G-12