「"Don't........unless you get to be a better shot." レイモンドより...」ポイズンローズ Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
"Don't........unless you get to be a better shot." レイモンドより...
道徳を疎かにしない。悪の塊の強いものには絶対に負けない。不屈の闘志だけが信条。しかも女性にはよそよそしい位優しい。娯楽映画を撮らしたら右に出るものなし。ジョン・ヒューストン監督をこの世に出し、一人の俳優をハリウッドで不動の地位につけた映画「THE MALTESE FALCON(1941)」がリバイバル上映されている映画館がさりげなく映る。元祖ネオ・ノアール映画をしりめに....次の言葉....
My name is Carson Phillips.
I'm a PI.
I like to drink. I like to smoke.... I like to gamble.
というジョン・トラボルタ演じる主人公の台詞から、この映画の幕が開ける。
一瞬で評価をしてしまいそうになる出だし。この映画。凝りに凝ったパロディ映画かと思ってしまう? 確かに「マルタの鷹」は数多く制作され、しかも、それ以上にパロッた映画の多いことから、いやな予感が頭をよぎってしまう。何か言いようのない映画。意味をはき違え間違っている映画。一歩でもシナリオの歪が出れば茶番劇で終わってしまう。そんな映画にトラボルタ自らナレーションも加えている。
ロマン・ポランスキー監督・ジャック・ニコルソン主演映画「Chinatown(1974)」と同じように依頼人が女性というのもおこがましいけれど、以前観た「パペット大騒査線 追憶の紫影(パープル・シャドー)(2018)」というトチ狂った映画の”PI”と同じ名前という事は、なおさら、同じように訳の分からない内容となるのではないかと心配になってしまう。
シナリオの始まりは、こうなっている。ロスアンジェルスに居を構えている私立探偵のフィリップスが彼の事務所で黒いドレスを着た肉感的な女性から依頼を受ける。テキサスのガルベストンにあるサナトリウムにいる伯母のバーバラがどうしているか、調べてほしいと...。映画「Galveston(2018)」でも描かれた風光明媚な街。彼の生まれ故郷であり、かつてはフットボール選手としてならし、むかし、恋人もその地にいた。この映画の最初の掴みの黒いドレスの女性が、いかにも謎めいていますよという雰囲気と反転するように彼女の演技が崩壊していることで、個人的にこの映画を真剣に見ようとした馬鹿な自分が、大げさかもしれないが、ガラガラと音を立てるように崩れ、自分の中では、”あ~ぁ、終わった”と見るのを諦めることとなってしまう。
そんな寡聞な者の事とはお構いなしに話は進展していき、かつての恋人ジェインの娘ベッキーが、彼女の夫がフットボールの試合で亡くなり、その容疑で地元保安官から目を付けられてしまっている....
映画も1時間を過ぎた頃にフィリップスに重要な一本の電話がかかってくる。
You asked me to call you when the medical report came
in on Mr. Chandler.
It was a high concentration of amphetamines and steroids.
There was also a finding of doxorubicin in his system.
-What the hell is that? ...... Well ...
that's the odd part. It's a cancer drug.
...................................................
It has to be prescribed by a physician. (doxorubicin:抗悪性腫瘍剤(抗がん剤))
この映画の原題名である”The poison rose”の’poison’はわかるとしても残る’rose’の意味するところは、最後のあっけないありふれたオチとつながっているラストとは?
「タイトルを含め何のセンスもない映画。」「恐ろしいほど’だるい’、ネオノアール映画らしきもの。」という批評家の歯に衣着せぬ物言いの映画として、しかもamazon.comでのレビューも似たり寄ったりの上、映画の評価が☆1が全体の評価で最も高くなっているのが、世の中の意見と割り切るしかないのか?
日本人の妻を持ち、度々来日もし、シェイクスピア俳優なのになぜか汚れ役の多いピーター・ストーメアという俳優。彼だけは、その姿勢を崩さないでいたが、ロバート・パトリックとブレンダン・フレイザー両氏。特にブレンダン・フレイザーの変貌ぶりが、醜貌という言葉を思い出されるほどの容姿で、映画の中での重要人物として登場しているにもかかわらず、髪を櫛でかきあげる様子は、彼は何をしたいのかわからない存在となっている。
意味が分からない人がもう一人いる。すごくかわいいキュートな方なのに、映画の中でカギとなる重要な立ち位置であることを忘れ、その演技と言えば稚拙すぎて、発声練習もしていない、この映画の腰をその愚かとしか言いようのない才能が映画の根幹を台無しにしている人。始めワザとしている悪質な演技と邪推していたが、そうでもなさそうに見える。何とトラボルタ、’お前もか!’ 一見良識人のように見えるイーストウッド監督と同じ’公私混同’という言葉を知らない、同じ轍を踏んでいる人。彼女が役者として、うまければ何の問題もないものを....。
エンターテイメント産業専門情報サイトVarietyの2019年5月25日付けの記事によると監督は、レイモンド・チャンドラーが描いたフィリップ・マーローや原案者のロバート・タウンが作りあげたものをロマン・ポランスキーが完成させた j.j. 'jake' gittesことジェイク・ギテスのタイプに主人公のカーソン・フィリップスを仕立て上げたかったのかもしれないが、イミテーションでしかないものになっていると....。
私的な思い。それなら書くなってか? このフィリップスというキャラは、トラボルタの年齢では若干高すぎる。せめて10歳は若くなければ、おかしなお話となっているように思える。稚拙なたわごと。
In 1971m scientists predicted that a comet named Kohutek
would pass closer to Earth than any other heavenly body in history.
Timothy Leary said it was a cosmic windshield wiper
that would wash this planet clean of its bad karma.
The hippies waited with baited breath, but '71 came and went.
Somehow, Kohoutek veered off into space.
They say we'll have to wait another thousand years for it to return.
Till then, someone else will have to deal with all this shit.
To say goodbye is to die a little.
I wasn't quite ready for that.
I wasn't in a hurry to go home.
Then I realized I already was.
なぜこんな長い英文を載せたのかってかい? "フランス人の言葉"としてマーロウより...少しキザかも....。意味不明か?・・・・・実は、この文章の中に『ロング・グッドバイ』でのフィリップ・マーローの言葉が映画のエンドロール直前のラストの台詞の中にある為。