「プロレスにハンディキャップなど無関係」ザ・ピーナッツバター・ファルコン regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
プロレスにハンディキャップなど無関係
ハンディキャップを抱える者を「弱き者or守られる者」というくくりにしない作品は、それこそファレリー兄弟映画が有名だが、本作はそこから一歩飛び出し、ロードムービー形式に仕上げた。
何よりも、実際のダウン症患者であるザック・ゴッツァーゲンの存在感たるや。彼の演技力を生かすために本作が企画されただけあって、堂に入っている。
トラブルメーカーとして追われる漁師役のシャイア・ラブーフも、プライベートでしょっちゅうトラブルを起こしているだけあって、こちらも適役。
そして何よりも、あらすじのキーポイントにプロレスを据えているのが重要。何でもありな虚構の世界で輝くプロレスラーが、ダウン症の青年をリングに導く。
WWEが片足のレスラーをデビューさせたように、日本にも「ドッグレッグス」という障がい者プロレス団体があるように、全ての人間がプロレスラーになれる。そこにはハンディキャップなど存在しない。
『ザ・レスラー』、『ファイティング・マイ・ファミリー』同様に、本作に登場するレスラーもイイ人。
本作で、元レスラーのジェイク・ロバーツとミック・フォーリーが役者の顔を見せているのも、彼らが「観られる」ことを十二分に理解しているからなのだ。
コメントする