「魂再生のファンタジー」ザ・ピーナッツバター・ファルコン しずるさんの映画レビュー(感想・評価)
魂再生のファンタジー
優しい夢を見ているような映画だと思った。展開が唐突だったり、ご都合主義に思えたり、整合性が合わない気がしたり、何も具体的な解決の見えないふんわりした結末だったりも、夢を見てるのかもしれないなぁと思えば、納得できるというか。
背丈を越える草むら、滔々と流れる広い川、闇に火の粉を散らす炎。夏休みの冒険のような心弾む道程、時が減速したかのような心象的映像が、その感覚を強くする。
家族と思える人々との出会い。旅人を導く、盲目の宗教家や、かつてヒーローだった老プロレスラー。流れに身を任せ大河を下り行く行程。ペイントや装束で隼を模す自己奮起の儀式。どこかネイティブアメリカンの神話を連想させるような要素。
心に穴を抱えた者達が、互いに寄り添い、補い、楽園を目指す物語は、傷付いた魂の、癒しと再生の旅路と言えるだろう。
リアリティを求めず、ファンタジーとして感覚的に捉える方が、腑に落ちる映画かもしれない。
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