映画大好きポンポさんのレビュー・感想・評価
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大好きな映画の中に自分を見出だして。夢を実現させて
公開時はビジュアルから萌えキャラ風の女の子が主演の映画製作現場を題材にしたアニメーション映画…くらいにしか漠然と知らず。
しかし、絶賛の声、声、声!
いや~確かに面白かった!
テンポ良く、笑えて、苦楽や熱いものも込み上げて。
そしてポンポさんの命令通り、尺は約90分!
映画会社“ペーターゼンフィルム”でプロデューサーのアシスタントとして働く青年、ジーン。
性格はうじうじ、おどおど、どん臭い。が、映画への知識、愛は誰にも負けない。
今撮影しているのは、巨大化したタコやカニに水着姿が眩しいセクシー美女が銃をブッ放して戦うB級モンパニ・アクション『マリーン』。
監督はB級映画を得意とするコルベット、主演は人気美人女優ミスティア。
何だかB級映画専門の某映画会社みたいな…。
ジーンは働きながら必死にお勉強。
そこへ、来ったぞ~!
映画製作現場にふらりと紛れ込んだ女の子。
皆と親しげ。誰かの子…?
でも、皆がですます調。
見た目は子供、実は彼女、
このペーターゼンフィルムの超敏腕プロデューサー。
手掛けているのはB級映画ばかりだが、しっかりと観客を満足させてくれるもの。
さらに、監督や俳優を見出だす目利き。
あのB級映画の某帝王を彷彿させる。
とある理由から、手掛ける作品の尺は必ず90分。
その理由となった祖父。
祖父は、もう引退した伝説の映画プロデューサー。
才能は受け継がれた。彼女に。
ポンポさん!
プロデューサーとしては超やり手だが、性格は陽気。ジーンは彼女のアシスタントで、振り回される毎日…。
ある日ジーンは、『マリーン』の予告編を任される。
映画の魅力をほんの僅かな時間で伝えなきゃいけないプレッシャー。でも、編集が楽しい!
なかなかユニークな予告編となり、これがポンポさんのお眼鏡に掛かった事から…。
ポンポさんの新作脚本『マイスター』。
B級映画が多いポンポさんにしては珍しいヒューマン・ドラマ。
世界的指揮者、ダルベール。が、行き詰まり、失墜。赴いたスイスの大自然の地で、一人の少女リリーと出会い…。
…という、筋は単純だが、魅力的な二人の登場人物、引き込まれるもの。
さらにジーンは一番好きなシーンを脚本から挙げる。
予告編の巧さ、脚本の深い読み解きから、ジーンはポンポさんが直々書いた脚本の監督にまさかまさかの大抜擢される事に。
え~~~~~ッ!? 僕が監督デビュー!?
ポンポさんの鶴の一声。
もうやるっきゃない。
さらにジーンの大プレッシャーとなったのは、ダルベール役。
6度のニャカデミー賞に輝き、今回10年ぶりに映画カムバックを果たすレジェンド名優、マーティン・ブラドッグ。(マーロン・ブランド×長らく引退状態のジャック・ニコルソンみたいな…?)
肝心のもう一人の主演。リリー役は…?
そこへ現れた女の子。
彼女を見て、ジーンは身体中に電撃が走ったようなビビッと感じる。
そこに、“リリー”がいた。
ポンポさんも彼女を当て書きして脚本を書いたという。
田舎町出身。ジーンと同じく映画好き。
映画好きにしてくれたおばあちゃんとの約束を果たそうと、映画女優になる事が夢に。
幾つものバイトをしながらオーディション受けるも、全敗。
今回もポンポさんから「地味!」と一度は落とされたが、まさかの再採用…!
夢への扉が開いた。
本作はジーンと彼女=ナタリーの奮闘サクセス・ストーリーでもある。
一行はまずロケでスイスへ。
向かう飛行機内に、銀行マンの青年。ジーンを知ってる風…。後の伏線。
スイスの大自然で遂にジーン初監督の撮影が始まった。超プレッシャー。
マーティン、さすがの名演!
しかし驚くべきは、ナタリー。本当にそこに、リリーがいた。
順調な撮影だったが、ヤギ小屋倒壊や天候悪化などトラブルも。
が、ジーンが機転を利かして撮影出来た。
皆がアイデアを出して、脚本に無いシーンも撮影。
文字通り、映画は皆で作る。
そして、この作品の要。ジーンも挙げた一番好きなシーンの撮影。
歌っているリリーが振り向き、ダルベールが音楽への情熱を取り戻す。
撮れた! このシーンを撮る為に、ここに来た。
この映画は成功するとも確信している。
どんな映画にも心に残る名演、ワンシーンがある。
今思い付いたのは…
『生きる』で公園のブランコに乗る志村喬。
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』で圧倒的インパクトのダニエル・デイ=ルイス。
『2001年宇宙の旅』のクラシック音楽に乗せての宇宙遊泳。
『スター・ウォーズ EP4』で二つの赤い太陽を見つめるルーク。
『殺人の追憶』の衝撃の“普通”のラストシーン。
『ゴジラ』で山の頂きから顔を現すゴジラ。
…もう挙げたらキリがない。
それぞれがすでに名作だが、その秀でた演技、シーンがさらに伝説にさせる。
撮影は終了。
が、映画はまだ完成していない。と言うか、監督の仕事はこれから。
そう、編集。
映画製作の格言。映画を殺すも、生かすも、編集次第。
楽しい楽しい編集の時間!…の筈だった。
莫大な撮影フィルム。それをポンポさん命令で90分に収めなければいけない。
最初はいい感じで繋いでいたが…、
初監督。あのシーンこのシーン、愛着あり、切れない。
それに、ストーリー上はみ出したりもしない。
でも、どうやっても2時間を超えてしまう。
まだまだ切らないと。
何処を…?
また最初から。何度も何度もやり直し。
次第にノイローゼ気味に…。
映画製作題材の映画は“撮影”が多い。
本作も前半は撮影だが、後半は編集にピックアップされているのが珍しい。
スターが演技する華やかな撮影と比べ、一見地味な編集。時には一年以上も編集室に籠ってフィルムと苦闘する監督や編集マンもいるという。
しかしここで本当に、映画は“生まれる”。
そして本作の面白い所は、ジーンの死ぬほどの編集作業に、自らの人生、映画への思い、
さらには『マイスター』のストーリー=ダルベールの再起も絡めて、これが実に巧い!
映像表現も見事!
ジーンにとっては、その映画の中に自分はいるか。
ダルベールにとっては、その音楽の中にアリアはあるか。
本作、メモしたくなるような言葉も多々。これから映画製作を目指す若者たちには是非…いや、絶対に見て欲しい!
ポンポさんの祖父ペーターゼンの助言を得、編集作業を再開したジーン。
気付く。足りない事を。つまり、
追加撮影。
それをやるという事は、携わったキャスト/スタッフをもう一度集めるという事。
その調製や何よりお金。
それがどんなに大変な事か。
それでもどうしても撮りたいシーンがある!
困った奴…。けど、その心意気や良し!
監督はこれくらいワガママでないと。黒澤明や宮崎駿やスタンリー・キューブリックなんて…。
でも、融資を何処から…?
思わぬ人物が協力を申し出てくる。
ニャリウッド銀行勤めの青年、アラン。
実は、ハイスクール時代のジーンの同級生。
ハイスクール時代、決して友達ではなかった。
アランは彼女や友達に囲まれ青春を謳歌し、ジーンは映画が友達だけの暗い青春時代。
そんなジーンをどん引きすらしていた。
銀行マンとなった今、仕事に行き詰まり。社会人となって、自分の無能さを知る。
そんな時、ジーンと再会。映画監督となって夢を実現させた彼に感嘆する。
仕事を辞めようとしていた時、ジーンの映画の融資の話を知る。
尽力する。
彼は夢を実現させた。
その夢を潰させたくない。
人の夢の為にあるのが、銀行。
リスクはあるかもしれない。が、
今の自分に出来るのはこれだけ。
自分も夢にーーー。
多少気になった点も。
幾ら何でもニャカデミー賞に輝いたり、都合のいい展開が多い。(ジーン監督、次回作大丈夫…?)
ファンタジーみたいに本当に悪い奴も不在。銀行の上司も最初はヤな奴だったが、協力してくれたし。
それと、理由はあるにせよ90分にやたらと拘るポンポさん。長い映画が氾濫する昨今、尺が短い作品は有難いが(例えばつい最近観たばかりの『ヴェノム~』とか)、ジーンの言う長い映画に浸っていたいというのも分かる。つまらない映画だったら苦痛だけど…。
どうしても90分に収まり切れず2時間になって、でもポンポさんがそれを気に入って90分以上の映画も…でも良かったんじゃないかな。
でも、あのラストの台詞を言わせたかったのかな…?
劇中さながら、平尾隆之監督やスタッフの素晴らしい仕事ぶり。
生き生きとした魅力的なキャラ。生を吹き込んだボイス・キャスト。
『マイスター』試写を見終えたポンポさんと同じ心情。
この映画、大好きだ。
映画監督の仕事に奮闘する青年ジーンの成長物語
連想する映画は『カメラを止めるな!』か。映画作品がメタ構造になっていて映画内で映画を作っている人たちの苦労を描いている。テーマが映画でなくとも何か現実社会における仕事現場で頑張る人たちを描く作品はどれもが視聴者に仕事や学業へのモチベーションを与えてくれるものであり、この作品もそうである。『幸福は創造の敵。彼らにクリエイターとしての資格なし。』うんぬん、というポンポさんの言葉は面白かった。作品全体を通して、人物の深堀りがあまりできていないのか、人物への共感、没入感はそこまで無かった。しかし、人に勇気を与えるようなテーマ性は悪くないので、見て損は無い作品だと思う。原作のマンガを読みたくなった。
おもしろくて面白くて、たのしくて楽しくて、涙が出るほど
この絵柄、宣伝だけを見て、この内容、この高まりを感じとれるだろうか、絶対無理だろう。
家族に聞くところでは、アニメで面白いと火がついて映画化されたとのことなので、知ってる人は知ってるのだろうが、少なくとも俺は、映画.com のレビューが無ければ、この映画と出会うことはなかっただろう。ありがとう、映画.com!
映画の一大拠点 "キャリウッド" で超有名プロデューサーだったお爺さんの人脈を引継ぎ映画製作に関わっているプロデューサーのポンポさん、その付き人をしている青年ジーン、オーディションに挑み続け落ち続けているナタリー、ポンポさんが作っているB級映画の常連女優ミスティアの4人で始まり、ポンポさんの脚本でナタリーを主演女優においた映画に名優マーティン・ブラドックを招いてジーンが監督として撮る映画の話。
「プロデューサーってなにやってる人?」という長年の疑問が氷解し、映画製作の面から映画の楽しさを味あわせてくれる。"あてがき" の意味もわかったし。力量じゃ残念ながら文字じゃ表現できないけど、冒頭に書いたとおり、90分間ずっと、おもしろくて面白くて、たのしくて楽しくて、涙が出るほどだったよ。いやあ、最高!!
そして、なにげなく登場してきたジーンの高校時代の同級生アラン。君、すごくいい味出してるよ! きみがいなくても十分面白い映画だったと思うけど、きみのおかげで絶対おもしろさ倍増してるよ! もちろんオスカーにきみの名はないけど、俺が勝手に助演賞をあげるよ!!
おまけ
へえ、制作会社のCLAPって「この世界の片隅で」を描いたチームが作った会社なんだね。今後も期待します!
ここからはネタバレになっちゃうけど、気に入ったセリフ書いて残しちゃお! まだ観ていない人は、これ以降は観てから読んでね。
・ 映画って、女優を魅力的に撮れれば、それで十分でしょ。
・ 大作で心を打つより、おバカ映画で感動させる方がかっこいいでしょ。
・ 一瞬のきらめきを逃さぬよう、絵の感覚を磨いておいた方がいい。
・ その人を見た瞬間に、物語が頭にあふれてくる時がある。
・ このシーンを撮るために、ここまできた。
・ 自分の直感を信じないで、何を頼りに映画を撮ればいいのよ?
・ さあ、現場での思いと編集者としての客観性がぶつかりあう段階だ。
・ 編集者は、初めての観客だからね。
・ なぜ映画を好きになったの? 君は映画の中に自分をみつけたんじゃないの?
・ 君の映画の中に、"君" はいるかい? それが見つかったら、君のアリア(独唱曲)を映画の中に入れればいい。
・ 僕が映画に救われたように、僕が映画を作ってみんなに届けたい。
・ この映画は、あの日の "僕" に向けた映画だ。
・ 夢をかなえようとしている人がいたら、それを手伝うのが銀行マンだ。
・ 生きることは "選択" の連続だ。ひとつを選んだら、他は切らなきゃいけない。
・ だから、切れ! ただひとつ残ったものを手放さないために、
以下は共感はしないが書いとくか
・ 幸福は、創造の敵。現実から逃げた人間は、心の中に自分の世界を作る。社会的不適合者だけが、自分の世界を作れるんだ。
原作を知らずに鑑賞したが、制作陣の一員に居るかのような感動を覚えた
前々から気になっていた作品だが、如何やら原作は漫画なようで…?
元々小規模で「長野に来るかー…?」と思っていたらまさかの近くの劇場に限定公開をしてくれたので急いで観に行った。
編集の裏側を見るということで、「業界用語とか多めの見難い作品かな?」と身構えていた。「映画の良さとは何か」「何が映画にとって大事か」など、本質的な部分を問いながら葛藤や苦悩を追い、「映画を作るとはどういうものか」など、一つ一つを人物たちが説明する有りがちな退屈ストーリーを序盤では危惧していた。
が、その掛け合いが全く持って飽きず、テンポ感がトントンと刻まれていたことや、ストーリの複雑さもなく仕上げられていた。見たことない未来の映像の後はストーリーが巻き戻り、そのシーンを見せてくれるので特に伏線などを考えずとも観ていられる。
また、人物たちの話す内容が一々素晴らしく、普段意識していないような部分を意識させるような作り方にも驚かされた。こればかりは映画を観ないと味わえないと思う。
是非とも機会がある内に観てほしい作品。映画館で観るからこその真価を出す作品。
ようこそ、夢と狂気の世界へ
何の情報もなければスルーしていたであろう作品。見た目で判断してはいけないとは正にこの事ですね。
タイトルにもなっているポンポさんは、映画プロデューサー。一見主役はポンポさんに見えるが、監督を目指すジーンと、女優を目指すナタリーのサクセスストーリーです。
見た目とは裏腹に、キャラクター1人1人が立っており、すんなり作品に入っていけました。
特にこの2人は、自分自身に自信を持てず、苦労してきた過去があるからこそ、頑張っている姿に応援したくなります。
映画作成という一見地味な作業の数々をテンポ良く、そしてノリ良く表現する事で、飽きることなく魅せてくれます。
企画、オーディション、撮影、編集、そしてマーケティングまで、想像以上に本格的な話ではあるものの、説明臭いところは一切なく、それでいて映画製作の大変さ、楽しさ、魅力が表現されていました。
少なくとも、映画好きな人には、間違いなくおすすめな作品ですね。
この作品を観ちゃうと、どんなに自分に合わない映画だろうと、軽々しく酷評なんてできなくなっちゃいます😅
本当に多くの人が関わり、1つの作品を作り上げているんだと改めて感じさせられました。
魂のこもったエンターテイメントが好きなら、一度でも感動したことがあるなら、確実に刺さる作品
大大大傑作。
監督は『魔女っこ姉妹のヨヨとネネ』の人、と言うとわかる人なら即飛びつくでしょう。
クリエイターの、常人とは違う狂気をポップかつエモーショナルに描いている。
この狂気は『セッション』のEDの興奮に近い。
前半からクライマックスまで名言の嵐。
ただのいちアシスタントだったジーンが監督に抜擢された理由が「いちばん目が死んでたから」なのが最高です。
「幸福は創作の敵」だと。目が死んでる側の人間が命を削ってモノを創るとどうなるか?興奮しかない!
映画の”編集”という地味な部分をクローズアップされているにも関わらず、素晴らしいストーリーと演出でエンターテイメントとして成立させているのが見事。
終盤はバトルモノのような興奮がありました。
挿入歌がかかるタイミングが絶妙で!涙で…スクリーンが……。
とにかく見るべき映画!
魂のこもったエンターテイメントが好きなら、一度でも感動したことがあるなら、確実に刺さる作品。
カメ止めのごとく、映画で語っているメッセージを作品そのものが体現している感動もある。ヤラレタ!と笑顔で膝を打っちゃう。見事。
ぼくは隈、隈、隈
タイトルロールはポンポネット嬢だが、実際はずっと目の下の隈が取れない制作助手のジーン君が主人公で、助監督経験もないのにあれよあれよという間に大傑作を撮ってしまう夢物語。
ポンポさんの作画はキッチュなのに、マーティンとかアランとかそれぞれタッチがバラバラでまるで統一感がない。みなもと太郎とか赤塚不二夫の漫画にもそういう例はあるけど、あれはギャグとしてやっているので。
劇中撮っている映画も陳腐なテーマで、私ならたぶん見に行かない。
映画を生かすも殺すも編集次第というのは正にそのとおりで、テンポのちぐはぐな映画は見るに耐えない。編集者ではクリント・イーストウッド監督の映画を多く担当しているジョエル・コックスが良い。ちなみに、編集者出身で監督になった人にハル・アシュビーがいる。
格が違う文句無しの大傑作!
レビューを見て軒並み評価が高いのは知っていたので前々から観ようとは思っていたのだが、上映から3ヶ月弱経ち終了ギリギリのタイミングでようやく鑑賞することができた。
観た感想としては、非の打ち所が全くないくらい面白すぎる!!!……と小学生みたいな薄っぺらい感想になってしまったが、本当にここ数年観た映画の中で5本の指に入るくらいには面白かった。こんなに高評価されているのも納得のクオリティでひたすらスクリーンから目が離せなくなるくらい圧巻の映像体験をさせてもらった。まさにジェットコースターに乗っているかのような90分間だった。
ストーリーとしては「編集」にスポットを当てるというのが斬新で面白いと思った。やはり映画を観る上で注目しがちなのは演技や脚本だが、実は映画をひとつの作品としてまとめ上げるには編集という作業が如何に重要で難しいものかに気付かされた。
いつもなら鑑賞が遅れてしまったら長々とレビューを書いたりはしないのだが、語り始めたら指が止まらないくらいの大傑作なので少し長文になってしまった(笑)。帰宅したら思わず買ってしまったパンフレットにゆっくり目を通して、もっとポンポさんの世界の余韻に浸っていたいと思う。
答えはひとつではない
自分の会社の意味無し会議もネット中継で晒してしまえ‼️
と思った人、挙手願います。
上司の自己満足のための会議、協議をした痕跡を残すためだけの言い訳みたいな会議、決定を先送りすることだけが決まる会議…
この映画、そこじゃないよ!
と分かってはいるのですが、そんな会議はなくなってしまえ、といつも思っているので、意外と刺さってきました。
この映画が『映画製作』という仕事の醍醐味を素人にも分かりやすく、なによりも魅力的に伝えてくれる素晴らしい作品であることは既に多くのレビューが伝えてくれています。
そして、肝となる部分には、世の中のあらゆる仕事に通じる普遍性があることも。
今自分が取り組んでいる仕事は誰のため?ということへの答えは、当然ひとつではないけれど、具体的な誰かを思い浮かべる想像力はどんな職種のどんな仕事でも必要です。
おそらく、世の中で起きている不祥事の類いは、すべてその気持ちを忘れてしまった人たちが起こしています。
仕事で迷いが生じたとき、大物プロデューサーが近くにいなくても(普通はいない)、今やらなければいけないのは、最終的には誰のためか?
そこを起点に始めから考えてみると、あれ?もしかして俺、上司の顔色ばかり見てたんじゃないか、とか、エンドユーザー目線を忘れていたんじゃないか、みたいに道が開けることがあります。
ところで、昨日鑑賞した『ドライブ・マイ・カー』の上映時間はほぼ2倍の179分。
答えはひとつではありませんね。
この作品に満点付けれないアニメマニア、映マニアはいるのか?
この作品をひとに勧められてまずネックになるのがこのキャラクターである。このエロアニオタアニメ風主人公にはほぼ誰に勧めても二の足を踏む。絵が嫌いだと。しかしそれが10分過ぎるとそうでないことが分かってくる作者?監督?によるそれが仕掛けであると・・。次にはアニメの動きについてである。最初明らかにキャラは秒6~8コマの動きで質の悪いテレビアニメを見せられてる錯覚に陥る。しかしそれも登場人物が増えるにしたがってその違いがこの画面でのキャラの重要度を図るバローメーターになり最後は普通のコマ12~18辺りまで伸びる。背景も手描直撮り背景からデジタル背景まで場面場面で記号的に使われここでアニメにおける「光」もしくは「光源」の取り扱いの歴史が埋め込まれている。金田伊功から大友、庵野を経て藍に至るまで。特に光と影の表現はフォービズムに強いリスペクトが見られ、それは銀行の壁面一面に多くのマチスが飾られていることからもその意識がよくわかる。銀行の一場面と言えばこれも素晴らしくネットの生配信と言う映画の対極とクラウドファンディングを組み合わせたこれも従来の映画作りとは似ても似つかないプライベートメッソッドと大手銀行の組み合わせ。映画のエピソでは小津組、黒澤組の違いを揶揄したり編集の際のデジタル編集とアナログ編集の違いによる映画製作の苦悩を描いたりもうこれ以上ない盛りだくさんなのである。後音楽についてもオープニングはクラシックなミュージカル風に、エンディングはヒップホップ風のMTVぽく…そして最後映画の長さについて90分を主張していたにもかかわらずこの作品は2時間近くある全く最後の最後まで退屈することなく90分以下にすら感じる面白さを観客に惜しげもなく提供している。こんな映画は見たことがない。満点!!!
ようこそ夢と狂気の世界へ
自分は映画を観て、「感動して、エンドロールが終わるのも気づかなかった」ことなど、一度もない。
「現実から逃げて、ここ(映画)しかなくて、だから命をかける」なんてこともない。
ただ、そんな「映画大好き」ではない自分でも、とても面白かった。
リアリティなど、どうでも良い。現実世界でも、監督、プロデューサー、俳優、それぞれ一人として同じ人物などいないはずだから、“不自然”だとか“ありえない”とか言ってみたところで無意味だろう。
出来すぎの“作り話”を、虚心坦懐に楽しめば良いと思う。それだけの豊かな内容がある作品だ。
クランクアップ後の「編集」では、最初は「地球上で一番幸せ」だったが、いざ始めてみると、どれも必要に思えて切れずに苦悩するのは、さもありなんである。
しかし、もっと専門的な話があるかと思ったら、結局、「どうしても伝えたいこと以外は、ひたすら切れ」みたいな抽象的な話で終わってしまって、その点はガッカリであった。
ラストは、主人公の監督の“価値観”を、一方的にまくしたてられて終わる感じであるが、そういう“青臭さ”も悪くない。
自分のような素人に、映画作りのダイナミックなところを垣間見せてくれるような、楽しい作品である。
フィルムにちゃんと
アナログ音声信号とデジタル音声信号がプリントされてるところ好き!
映画化部分の原作はpixivで既読。原作の最大の不満点だった、作中作(『MEISTER』)があんまり面白そうに見えないところが、だいぶ改善されていたように思えた。
普段映画を観てて編集について考えることはほとんどないけど、そこにスポットを当てていて、興味深く観た。まあクレジットが判断する限りは、監督が編集もすることはあまり(ほとんど?)無いみたいだけど。
ビジネスとしての映画製作も(取り上げ方や描き方はともかくとして)少しだけ触れられているが、オリジナル足すなら興行についても拾ってほしかったかな。
なんだかんだ言っても総じて楽しんだけどね。
あと、
●スタンド・バイ・ミー
●LAコンフィデンシャル
●ギルバート・グレイプ
みたいなのなかったのは残念。
芸術とは不幸せの結果である。
【初映画監督に抜擢された冴えないアシスタント君のプレッシャー、喜び、編集の苦しみを劇中劇とシンクロさせて描く。けれど、尺90分に拘るポンポさんは、本当に映画好きなのかな?】
ー 映画製作現場のリアリティさ、資金集めの大変さのシーンなど、面白く鑑賞した作品。ー
◆少し気になった点
・映画界の重鎮を祖父に持つポンポさんが、序盤に言った台詞。
”長い映画は嫌い!”
ー いやいやいや、幼い頃から祖父と映画を観て、長い映画は嫌だという気持ちは、分からないでもないが、ではポンポさんは、
・十戒
・ベン・ハー
・風と共に去りぬ
・ゴッド・ファーザー
も、嫌いなのかい??ー
更に、ポンポさんは、彼の名作もバッサリ切って捨てる・・。ー
・ポンポさんが、ジーンをアシスタントに迎えた理由。
”他の人は、未来と夢を持って眼が輝いていたけれど、(映画しか楽しみがないので)眼が死んでいたから・・。”
ー いやいやいや。私は、京都芸術大学の映画学科の生徒の、輝く顔を何人も見ているよ!ー
・ジーンが、90分尺に収めるために、編集するときに言った言葉。
”家族”も”友人”も切り捨てなければいけないのだ・・、と言いながら”Delete”キーで編集していくシーン。
ー いやいやいや。編集で、カットするのは仕方がないが”家族”も”友人”も映画を作るうえでは、大切な存在でしょう。セリフにしなくても・・。
◆良かった点
・映画製作現場のリアリティさ、資金集めの大変さが描かれていた点。
特に、級友だった銀行勤めのアランが、ジーンの映画追加撮影のための資金を融資して欲しい・・、と重役たちにプレゼンするシーン。
ー 順風満帆の人生を送って来たアランが、社会人の厳しさにめげ、会社を辞めようとしたときに目に入ったジーンの資金融資依頼の紙。冷たかった上司の粋な計らいと、頭取がアランに掛けた言葉。沁みてしまった好きなシーンである。ー
<映画には、人生の喜び、哀しみ、虚しさ、不条理、怒りが詰まっている。私が、映画は総合芸術である、という思いを持っているのは、万民に受け入れられる娯楽であり、芸術であると思っているからである。
映画に、規範を求めてはいけないと思う。(倫理的に許されない描き方は除く。)
又、映画製作に関わる人を、古臭いステロタイプ思想
ー僕には映画製作しか出来ない・・。社会性を欠いている・・。ー
で捉える事も、如何かと思う。
実際の映画監督の多くの方は、非常に聡明で、社交性豊かな方が多いのであるから・・。>
<2021年8月14日 刈谷日劇にて鑑賞>
粋
周囲の評判があまりにも高いので期待値がかなり高くなりすぎていた。
いや、期待の種類が違うというべきか。
「この作品は涙涙の感動超大作なんだろう。どんなに打ちのめされるのだろうか。」と思って見始めたら涙涙ではなくワクワクが止まらない方の超大作で驚いた。
映画を作るってこんなに楽しいんだということがかなり伝わる映画。
特に撮影をあっさり済ませてその素材をどう調理するかというところに焦点を当てたのはかなり斬新でもあり、編集の面白さを余すところなく伝えていた。
それでいて編集以外の映画を作るのに必要なところも逃すところなく入れ込んでいて本当に素晴らしかった。
最後にこの映画で僕が1番気に入っているところは上映時間が90分であるということだ。
全278件中、81~100件目を表示