「映画館で観て欲しい!映画好き以外にも刺さる、映画讃歌!」映画大好きポンポさん たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で観て欲しい!映画好き以外にも刺さる、映画讃歌!
延期の末の劇場公開。今も苦境に立たされている映画業界を底から突き上げて応援するような、素晴らしい讃歌!粋でカッコいい、最高の90分。監督とプロデューサーのインタビューも聞けたので、裏話を交えながら感想を下に記していく。
元々は漫画であり、比較的巻数も進んでいないのだが、映画の企画は4年前からあったそう。平尾監督は絵コンテも手掛けたので、絵コンテ→編集→絵コンテ→編集…のような繰り返しをしながら作れたそう。本作は90分なのだが、そこにこだわる理由に駆られながら作ったそう。脚本やアニメの伸びを気にしながらも上手く収めたとのこと。その裏で、ジーンのように頭を抱えていたとか。素材を活かし切る難しさを追体験…だったとのこと。
それもあってか、とにかくテンポがいい。矢継ぎ早に投入されていく展開でリードをしつつ、独創的なカットや次のテイクの繋ぎで魅せていく。さらに、映画好きには堪らない描写に、知られざる苦労など…たっぷり詰め込んだことで、疾走感を感じさせながらドラマの厚みを生み出している。さらに、画にも工夫が感じられ、レンズ越しに観ている輝きを表現したり、一瞬のきらめきを逃さない美しさを拾いながら紡ぐ。よって、作中映画もその外側も並行して楽しめる。ホントに良くできている。
そんなポンポさん。彼女はプロデューサーのポジション。一見すると、彼女がメインと思ってしまうのだが、ジーンが主役。監督となって奔走するのだが、プロデューサーの名に相応しい動きをポンポさんは見せる。だから主人公のジーンに新人女優のナタリーなど、多くのキャラが霞むことなく機能している。そして、彼女に帰属するような圧巻の展開はドキドキしてハラハラしてとても痺れる…。
監督は「マイノリティの肯定感」と「夢のある若者への讃歌」の2つを挙げ、本作を表現していた。今後も語り継がれるアニメ映画が1つできたのではないか。また観たい。大きなスクリーンで、知らぬ誰かと時間を共に過ごすように…。