劇場公開日 2019年12月13日

「言いにくいことはラテン語で」2人のローマ教皇 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0言いにくいことはラテン語で

2025年4月23日
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鑑賞方法:VOD

泣ける

笑える

幸せ

色んなことを考えて久し振りに鑑賞。忘れていたシーンが山ほどあった。こんなに深くて辛いシーンもあったのか。ベネディクト16世とベルゴリオ枢機卿が互いに告解する箇所では涙が溢れた(若いときのベルゴリオを演じたフアン・ミヌヒン、とてもよかった)。ホプキンスとプライスの二人ともが主役の映画だ。真逆の二人が出会い話し一緒に時を過ごし、それぞれが相手の思いや言動から反射を受ける。プライス演じるベルゴリオ=フランチェスコは本当にチャーミングで優しく強い。フランチェスコのジョークはツッコミ、ホプキンス=ベネディクトはボケだ。ベネディクトの左目が殆ど見えていないのがメイクと表情で上手く演じられていた。音楽と食事とサッカーとタンゴがいいスパイスになっていた。最後の方で本物のベネディクト16世とフランチェスコがお友達みたいに嬉しそうにしている場面が二つ流れる。2人のローマ教皇とも神様のお家に帰ってしまった(2025.04.23.)
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会話劇でドキュメンタリー・タッチでアクチュアルな話で老いの話で、そして世界を守りつつ変えていこうとする。それは教皇にも私たちにも通じる話で笑いながらも深く考えさせられた。

初めはホプキンスがフランチェスコ役かと思っていたので新鮮な驚きだった。結局はとてもいいキャスティングだった。フランチェスコもラッツィンガーも過去、胸が痛む、別の言い方をすれば世間や母国から批判されることがあった。個人的にもラッツィンガーが教皇になったのには自分は批判的だったけれど、二人が真摯に語り合う場面で心動かされた。コンクラーヴェで世界中から枢機卿が集まる場面はどんな映画でも楽しい。それぞれに故郷があり母語があり大好きなお料理があり個性がある。

タンゴとサッカーとジョークが好きなアルゼンチン。ジョークが苦手でクラシック音楽好きで自分の心に誠実であることを大事にしてKnoedelが好きなドイツ(バイエルン)。例外が多すぎるから英語は疲れる!枢機卿の2割程度しかラテン語はわからないから大事な発表はラテン語で。

強大な力を持つキリスト教には思うことがあるけれどこの映画を見て良かった。そして今のパパ、フランチェスコがなぜ愛されるのか少しだけでもわかって嬉しかった。

映像が美しかった。音楽では「ベラ・チャオ」が流れたのはドキッとしながらも嬉しかった。そして冒頭と最後のランペルドゥーサへのフライト予約には笑えた。どこへでも身軽に移動して皆と一緒に食事して語り合うフランチェスコには親近感を覚える。この世に変わらないものはない。神も動く。いい言葉がたくさんの映画でした。

talisman
TSさんのコメント
2025年5月11日

コメントありがとうございます。
ローマ教皇は、映画の題材としてこれからも取り上げられていくことになるような気がします。

TS