「理想の死に方」痛くない死に方 ユウコさんの映画レビュー(感想・評価)
理想の死に方
同じ「死」なのに、前半で描かれる死はただ苦しみばかりで尊厳も保てず、献身的な家族の心も踏みにじられる。自身の誤診の疑いを後悔し、後半、生まれ変わったような主人公の姿と、シャレがきいてて粋な夫婦の在宅医療が描かれる。この宇崎竜童大谷直子が、きりっとしてかっこいい。死にたいする恐怖が消えるわけではないが、やせ我慢とそれを支える医療の力は、思い残すことなく旅立てる理想の形を示している。
それぞれの登場人物の心情が、台詞ではなく画面を通して切々と伝わってくる。また、この医療を保つために医師の側にはただ事ではない負担がかかっていることも描かれ、綺麗事ではすまないということも語られる。
一つの理想の形を示し、なおかつ見てる側に様々なことを考えさせる、すばらしい映画だと思う。
葬儀の、大工仲間の送る歌のシーンは、その人の生き様がずしんときて、泣かされた。
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