劇場公開日 2020年2月28日

  • 予告編を見る

「異形の者への偏愛と名作へのリスペクトが滲んだずっしりと重いジュブナイルホラー」スケアリーストーリーズ 怖い本 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0異形の者への偏愛と名作へのリスペクトが滲んだずっしりと重いジュブナイルホラー

2020年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ステラ、オーギー、チャックの3人はハロウィンの夜に紛れていじめっ子のトミーにリベンジを仕掛ける。トミーに追われた3人はドライビングシアターに逃げ込みそこにいたラモンに助けられる。意気投合した彼らは町外れにある幽霊屋敷、ベローズ邸を探検することに。屋敷の中にある隠し部屋を見つけたステラは手書きの古びた本を持ち帰るが、その書きかけの本に赤い文字が浮かび上がり新しい物語が綴られる。その『ハロルド』と題された怪談は現実のものになっていることをまだステラは気づいていなかった・・・。

映画の冒頭に"1968年"と出た瞬間に、そうきたか!とホラー好きなら誰でもピンと来る、要するに『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』が公開された年。当然ながらきっちりオマージュが刻まれていて全編にホラー愛が溢れています。幽霊屋敷ものというオーソドックスな題材に当時の世相を滲ませながら子供達の冒険譚として成立させる脚本と演出が見事。デル・トロ印なので異形の者に対する偏愛が絶妙で、ヒトではないキャラクター達が絶妙に愛らしいです。

ゴア描写は控え目ですが、爽快感に逃げない展開には『IT』のような凄惨さと禍々しさが濃厚で、意外とどっしりした印象を残します。この辺りは『トロール・ハンター』、『ジェーン・ドウの解剖』と続けざまに独特の作風を世に問うたアンドレ・ウーブレダルの個性が滲んでいるかと。主演のメガネっ子ステラを演じるゾーイ・コレッティがなかなかキュートです。

よね