「貯蔵」積むさおり U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
貯蔵
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タイトルがいい。
凄いシンプルなお話だった。
ストレスというものの成り立ちとでも言うのだろうか?
観てる俺は最初から最後まで常に不快だった。というのも、アレはうちの家庭の事かと思うからだ。
悪気はない。
ないのだが、四六時中顔を突き合わせていれば溜まっていくものは必ずある。
それは勿論、お互いにだ。
元凶は確かに相手だ。
相手から発信されるものである。
でもそれを溜め込んでいくのは本人なのだ。
タイトルは「積むさおり」
…なるほど、と唸る。
作品自体も音を巧みに使っていて、主人公であるさおりの聴覚を体験する事になる。
否応なしに、さおり目線で作品を見る事になり、感情移入もさおりにだ。
でも、タイトルは「積むさおり」
主観で進む作品は、実は客観的な視点をも孕んでいて、観終わってハタと気付く。
どちらかに落度があるわけではない、と。
作品中、色々な比喩的表現はあるものの、タイトルを含めて考えたら、シンプルな作品だったなとの結論に至る。
あらゆる情報を強制的に伝えてくる「音」への警鐘とも取れるのだろうか?
発言も感情を音に変換したものであったりもする。雑音や生活音は、それだけでは「音」なのだけれども受信する側のメンタル次第で、無意味に意味をもつようになる。
それを受信する「耳」
彼女が自らを使ってかっぽじった異物は形容し難いおぞましさの集大成ではあり…山盛りに盛られた異物に便秘が治った時のような爽快感を感じる。
溜まったものは出さなくちゃ。
そんな映画だった。
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