劇場公開日 2019年11月2日

  • 予告編を見る

「生まれながらにして」少女は夜明けに夢をみる ミカさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0生まれながらにして

2019年12月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

私は恐らく幸せだ。自分でお金を稼ぎ、食べるものには困らず、映画鑑賞を趣味にしている。嫌な事はあるけれど、生まれなければ良かったと思った事は一度もない。生きることは素晴らしいと言われれば、そうかなと思う。

しかし、私はスクリーン越しに映された少女達に、生きることは素晴らしいなんてもっともらしい事を言えるのだろうか?私が彼女達だったら、そんなもっともらしい事を言われた時に何を思うだろうか?

生まれながらにして暴力と貧困に晒される彼女達は、生まれる場所も環境も選べない。私が生まれてきて良かったと思うことが、単に運が良いだけなのだ。そして、彼女達を取り巻く悪い環境は、明らかにイランの経済に左右されている。イランの経済は、国際政治に左右されている。国際政治を動かしているのは、アメリカを中心とした先進国である。だから、彼女達の劣悪な環境は、紛れもなく先進国が作り出しているとも言える。

74年前の広島と長崎で丸焦げになって死んでいった子供達も、骨と皮だけになって餓死する虐待児も、売春するしか生きる術のない少女達も、地中海で溺れ死ぬシリアの子供達も、国家権力と金持ちの犠牲者だ。そう、全てが繋がっている。

ミカ