「涙の伝播」ケアニン こころに咲く花 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
涙の伝播
新型コロナ禍で映画鑑賞も自粛した方がいいのかもしれませんが、敢えてコロナワールドで3本鑑賞しました。その1本目。座席は市松模様じゃなくて一列飛びの縞模様。朝一の回の客は4人だけでした。
ケアニンとは介護福祉士のこと。前作は観てませんが全く問題ありませんでした。利用者の人口でいえば特別養護老人ホームは60万人で介護士は30万人。有料老人ホームよりも安いけど、競争率が高くて中には10年待ちという方もいるとか・・・
キャリアを積むため小規模施設から100人規模の特別養護老人ホームに転職した大森圭(戸塚)が主人公で、ある意味彼の介護士としての成長物語でもある。一人一人の入居者に応じたケアを心がけていた圭だったが、上司からは「もっと効率的に」と叱られる。老人たちの食事のスピード、居眠り、排便時間などを考えていたからだ。時間がかかると、事故にも繋がるなどと、過去の反省からも効率主義に甘んじることになるのだが、幼なじみの美容師に出会い、ボランティアで施設の中に美容室を設置してみたりする。
そんな彼の試練はモンスター家族の存在だった。女性を男介護士が看るのか?散歩したら母が可哀そうでしょ!などなど文句の絶えない木下美恵子の夫と娘。さらに理事長(小野寺昭)や施設長、主任からも叱責される。そんな要介護度4のアルツハイマー型認知症・美恵子の担当となり、徐々に心を見せてくれる彼女と夫に長年の思い出をプレゼントしようとする圭だった。
同じ列に座ったおじさんが、多分夫の木下達郎(綿引勝彦)の気持ちに完全に同化したみたいで、わんわん泣いている様子が伝わってくる。その嗚咽、慟哭の度に座席が揺れて、こっちにまで感染してしまいました!いや、泣いてしまいますよ、このストーリー。俺だって母親がこんな感じだったし、もっと心をわかってあげられればと、泣きたくなりました。いや、泣いた。完全に感染してしまいました。
いえいえ、まだそんなに被害が大きくなるとは思ってなかったもので、つい書いてしまいました。
介護の現場も医療現場と同じく大変な状況のようです。早く終息することを願うばかりです。