「そういうの、想像力の射程が短いって言うんですよ」乱反射 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
そういうの、想像力の射程が短いって言うんですよ
街路樹の下敷きになって幼児がなくなった事件。
明らかな「犯人」が存在しないもどかしさ、多くの人間の些細な怠慢・ルール無視が、落ち葉が重なるように積もっていき、必然のように「事故」が起こる。切り口は興味深かったけど、あれで市役所や業者にそこまで責任を問えるのか?そこまで謝らなくちゃいけないのか?って気分が強かった。みんな身勝手。それも自分で認識を持っていないのが質が悪い。正義を振りかざすサトシにしても、真っ当な善人でもない。みんな、大なり小なり心に悪を潜めている。それこそが、現代社会だものな。もちろん自分を含めて。
これから先、どこに起きても不思議ではない話。
ひとつ見方を変えて思うことがある。
例えば昭和の前半くらいまでは子供が亡くなることは多かったよな、と思うのだ。遊んでいて水路で溺死したとか、流行り病でぽっくり逝ってしまったとか、、。だから言葉は悪いが「保険」としてどこの家庭も子だくさんだった。地域も、子だくさんでも育てられる環境だった。自分の死んだ爺さんだって8人兄弟で、まともに成人できなかったのが3人いた。そういう時代もあった。子供は1人もしくは2人っていうのは普通な今、こういう事故が与える影響の大きさを「想像」すると、些細なことでさえも気配りを怠ってはいけないのだとしみじみ思う。
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