「見事な特撮映画。チープさと高度なCGの共存」シン・ウルトラマン みかんさんの映画レビュー(感想・評価)
見事な特撮映画。チープさと高度なCGの共存
シンゴジラみたいな現実世界の延長線の世界を期待していたので、それほど政府やお役人がオタオタする描写や、一般人が逃げ惑う姿などは少なく、そこはちょっと物足りない。しかし別物として観ればこれはこれで良い。
斎藤工の佇まいが美しい。特に山林で神永自身を見つめるウルトラマンが、ゾフィーと語るシーンはグッとくる。
矛盾に満ちた未熟な人間を愛してくれたウルトラマンの想いに、人間も頑張らないと…と思わされる。
特に、外星人の巧みな交渉に振り回されるお役人の姿のあとで。
何でウルトラマンはここまで人間を好きなのか描写が足りないというコメントをレビューで見たけど、
神永が死を賭して子供を助けようとしたこと、バディ浅野や特務隊との友情だけでも、充分ではないか?
ストーリーの説明をいちいちセリフで行っているので、特に論理破綻もなく、あれどういう意味?みたいな、観客に解釈委ねるようなところがないのも良かった。
代わりに説明の長台詞に振り回されて、若手の早見あかりと有岡大貴の役不足感が否めない。
西島秀俊は、「きのう何食べた」の印象が強すぎて、シロさんが出てるみたいだった笑
山本耕史も、同じく、「きのう何食べた」に出ていたが、こちらは演じ分けが見事。
外星人メフィレス役を怪演していた。
最後は、特撮映画と円谷プロ、原作ウルトラマンへの敬意と愛情が良かった。
着ぐるみ感や、ミニチュアフィギュアの不自然な映像が、高度なCGと同居している歪さが良かった。
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