「スコンと真っ二つ」シン・ウルトラマン クマチキチさんの映画レビュー(感想・評価)
スコンと真っ二つ
庵野さんが、ウルトラマンの素材をバラして繋ぎ合わせて、好き放題遊び倒した二次創作的かつ総集編的な作品といった印象。
序盤から、実にテンポよくストーリーが展開し、プロレスから光線ピロピロ~、スラッシュでスコンと真っ二つ...「そうそう!それそれ!」と懐かしいシーンに興奮するも、中盤以降は政治的なやり取りや、広げた風呂敷を畳む作業がメインになり、少々トーンダウンする印象。
ストーリーは綺麗にまとめられており、脚本が丁寧に整理されていることにも好感を持ったが、個人的にはもう少しプロレスを見たかった。
もう、序盤の勢いのまま怪獣(←こっちが正解)をバンバン出してプロレスに終始してくれても良かったのでは...とも思ったが、それだと「外星人たちとの戦いや、自身も外星人であるが故の苦悩を描く」というウルトラマンならではの魅力が減退してしまうのか。
やはり、ウルトラマンは映画としてではなく、本来のTVシリーズとしてリメイクすべき作品ということか。
あと、当時の作品にありがちな、唾液を飛ばしながら喘ぐような発声をする役者たちや、怪獣たちの「うす汚れた着ぐるみ感」も、当時の作品に独特の不気味さや緊張感や生々しさを与えていたのだなぁ...と、綺麗に生まれ変わった今作を見て改めて実感した次第。(その分、鑑賞しやすくなってるけどね)
正直、オリジナル作品として観た際の、新たな発見や驚きはほとんど無かったし、ゼットンの「扱い」など納得できない所も無くはないが、新たな解釈を加えて再構築(リブート?)された作品としては、全体を通してよくできてるなと感心した。
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