「ウルトラマンという菩薩」シン・ウルトラマン ぽったさんの映画レビュー(感想・評価)
ウルトラマンという菩薩
オリジナルのエピソードに引きずられすぎてパロディになってしまっている。シン•ゴジラはもっと独自の世界を打ち出していた。ウルトラマンはどこから来てどこへ帰っていくのかといったことは(シンゴジラみたいに)不可解なままでいいんじゃないか? それに理屈をつけようとすると神から人間に降下してしまう。シンゴジラみたいに訳の分からない怪獣が出現して、そこにウルトラマンという訳の分からない巨人が出現する。人間は手をこまぬいて傍観し、ただオロオロするばかり、というのを期待した。
音楽が始終鳴っていてうるさい。しかもテレビ用の古くさいもの。旧楽曲へのオマージュはもっとささやかにお願いしたい。新しい曲も戦闘場面のときギクシャクして合っていない(メフィラスのとき)。音楽の使い方が本作の魅力を損なわせている部分が少なくない。
斎藤工は雰囲気が出ていたものの、他の隊員はうすら笑いを浮かべた感じで、シリアスさが足りない。ユルい。敢えてそういう芝居をしてるのか。
斎藤工が監禁されたり長澤まさみが巨大化したりとダメエピソードが続いた。カトクタイ自体、犯罪者集団になってしまうのはガッカリ。一作しかないのだから、もっとカッコいいエピソードを採用して欲しい。カッコいい組織やヒーローをすぐ壊すのは庵野ぽいけど。
ウルトラマンの造形自体は良かった。特に仮面は弥勒菩薩を思わせる微妙さが表解されていた。ただ首元が寂しい。体から仮面に接合される部分がもう一捻りあって良かった。仮面でなくグレイエイリアンぽくするとか。
話が詰め込みすぎで緊張感が作れなかった。
要らないもの…カトクタイ、メフィラス、ゾフィー
怪獣1体とバルタン星人1人でオーソドックスに勝負して欲しかった。
怪獣(古代の生物兵器を復活させたもの)は日本だけに出現するということになっているが、それってメフィラス星人が政府と交渉するためにやったってことか。怪獣の首から下はどれも同じだというのは兵器だから?(これは当時の制作現場が予算不足で着ぐるみを使いまわしたことのパロディだろう)
メフィラスのパートは嫌いだが山本耕史は役者としてはきっちり芝居している。冗長なセリフもうまく解けこましている。
β装置は人を巨大化させるものなのか?
ウルトラマンもそれで巨大化している?
ゼットンを倒す時、βカプセルを2回押せば巨大化も二乗されるはずだが、そうはならないみたいね。