「原作へのオマージュ満載」シン・ウルトラマン pecanさんの映画レビュー(感想・評価)
原作へのオマージュ満載
原作は再放送で何度も見て思い入れがある年代です。同年代の嫁さん(仮面ライダーはよく覚えているがあまりウルトラマンの記憶はないらしい)と大学生の息子と映画館で視聴。
Z世代の息子もウルトラマン好きで、事前に2012年にWOWOWでまとめて放映されたときのザラブ星人、メフィラス星人、ネロンガあたりの録画を見返していましたが、私もつきあって横で見て記憶を更新していたので、本日の映画も大変楽しめました。
ストーリーは登場する禍威獣と異星人が整合するように、今から見ると無理っぽい設定は現代に合わせてうまく翻案されていました。メフィラス星人が少年をとらえて、地球征服の正当な理由付けとして"あなたに地球をあげます"といわせようとするシーンはなく(異星人独自の論理に基づいて動いていると解釈できなくもないのですが)、ウルトラマンの存在や異星人との交渉を政治利用しようとする政府や各国の思惑に振り回される様子が描かれていて、リアリティがありました。
科学的な考証もしっかりなされており(多分)、ウルトラマンの体重も2000トン台。ゼットンの1兆度の火球はそのままでしたが、1兆度の影響については、柳田理科男さんが指摘している通り、太陽系がなくなってしまう点も登場人物のコメントにありました。
ストーリー自体は変わっていたものの、細かいシーンに原作へのオマージュがちりばめられており、原作を知っている人はもちろん、知らない人でも普通に違和感なくみられる作品に仕上がっていたのではないかと思います。個人的には、ウルトラマンとメフィラスが互いに順番に背負い投げをかけあうシーンが、原作そのままで笑ってしまいました。
メフィラスの人間の姿を演じた、山本耕史さんは胡散臭さたっぷり、ナイスなキャスティングでした。