劇場公開日 2022年5月13日

「高齢化社会商法映画」シン・ウルトラマン シューテツさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5高齢化社会商法映画

2022年5月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

昭和30年(1955)生まれの私の子供時代の日本には二人の神様がいました。
一人の名は手塚治虫、もう一人の名は円谷英二と言います。
その円谷英二が生んだ中の二大ヒーローが“ゴジラ”と“ウルトラマン”です。
ゴジラは1954年生まれの映画の中のヒーローであり、ウルトラマンは1966年生まれのテレビの中のヒーローであり、当時の子供(特に男)で、この二大ヒーローの影響を受けなかった者は殆どいないと思える程の社会現象でもありました。
その時の子供達が高齢者と呼ばれるようになった今現在でも、まだその新作映画が生まれるという現象って、まさに高齢化社会の産物の様な気がします。
ある年齢を過ぎると人間ってどうしても懐古的になってしまい、悲しい事に高齢化社会の今の日本の場合、そういう年代の懐古趣味を刺激することは一つのマーケテイングになっていますからね。
で、私はそれの恰好の餌食となる典型的なタイプの人種なのでしょう(苦笑)でも、それはそれで結構楽しんでもいますけどね。

しかし世代に関係なく、ゴジラも“平成ゴジラ”から“米国ゴジラ”まであり、ウルトラマンもずっとテレビシリーズとして続いているしで、新作を作る場合どの世代を主要ターゲットにするか?で作り方が大きく変わるのですが、本作の場合は明らかに我々旧世代を主要ターゲットにしていたようです。まあ、私が観た劇場での客層もけっこう年齢層が高かったですしね。(というか、作り手が我々世代だし)
それが良かったのか悪かったのかは分かりませんが、本作は『シン・ゴジラ』世界のその後に置き換えたものの、初代ウルトラマンの内容を今風にアレンジしたものでした。
特撮も(時代的)チープさ・作り物感・幼稚さ・低予算的な雑さを、味わいとして敢えて確信犯的に残したり、元々あったキャラクターデザインの素晴らしさを改めて認識させてくれる様な気遣いが感じられました。
そういう意味で、今この歳になって昔の作品を観返すよりも、こうして新作として観直した方が、個人的には楽しかったです。
でも、テーマだけが当時と現在の価値観の違いが残った気がして、いまいち釈然としなかったですね。
まあ、見る世代により、様々な見方の違いはあると思いますが、ワクワクして観ていた小学生の時から半世紀以上も経っているのだから、少しは成長しているってことなのでしょう(爆)

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シューテツ