劇場公開日 2019年10月25日

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「ファン・ゴッホの最高傑作の数々がここにある」ゴッホとヘレーネの森 クレラー・ミュラー美術館の至宝 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ファン・ゴッホの最高傑作の数々がここにある

2019年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

上野の森美術館でゴッホ展が開催中なので、予習気分で鑑賞。
ゴッホの個人コレクターとしては世界最大規模の収集家、ヘレーネ・クレラー・ミュラー。オランダ有数の資産家で、クレラー・ミュラー美術館を開設。その作品を紹介するドキュメンタリ。
まるで修道女のごとく、ゴッホの作品に生涯をささげた彼女。そんな豊かな彼女と、神の存在さえも疑う貧しかったゴッホとの対比は、巡り合う運命だと言おうか、神の皮肉とでも言おうか。
ゴッホといえば「ひまわり」や「糸杉」(ゴッホ展で展示)などが一般には有名なのだが、それはパリ移住以降の作品で、それ以前は農民などをテーマにした暗めの絵ばかり描いていた。農夫の労働を慕うゴッホの気分は、まるで用の美を賛辞を贈る民芸の世界のようだ。「じゃがいもを食べる人々」がその典型で、ゴッホ展ではリトグラフが展示されている。おおこれか、と感慨深く、ほかの鑑賞客よりは長めに見つめた。
当のゴッホ展はハーグ美術館収蔵の作品が多く、クレラー・ミュラー美術館収蔵のものは少なかったが、せっかく同時期の上映しているこの映画を観てからゴッホ展に赴けば、なにかゴッホ本人に近づけた気分になれる。半券提示で100円引き。

栗太郎