「義憤ではなく軍への忠誠心で冤罪事件に自らの名誉をかけて挑む姿をストイックに見つめる史実サスペンス」オフィサー・アンド・スパイ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
義憤ではなく軍への忠誠心で冤罪事件に自らの名誉をかけて挑む姿をストイックに見つめる史実サスペンス
世界史で習ったドレフュス事件をスリリングに描く歴史ドラマ。たかだか130年ほど前の話ですが当時のフランスの風景が現代のそれとは全く異なることにまず驚きました。ユダヤ人差別が引き起こした冤罪事件に立ち向かうピカール中佐自身も反ユダヤ主義であることを隠しもしない男で、諜報部部長に任命されたことを契機にしてフランス陸軍への忠誠心から軍に蔓延る腐敗を片っ端から排除しようとする中で事件の捜査の杜撰さを知り長い年月と自身の名誉をかけた戦いに身を投じていくストイックさが胸に沁みます。命懸けで事件解決に臨みながらもドレフュス大尉に対する冷徹な態度を崩さないピカール中佐に『夜の大捜査線』でティップス刑事の聡明さに驚嘆しながら自身の黒人蔑視と葛藤したギレスビー署長を連想しました。
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