劇場公開日 2019年11月29日

「ディボース・ストーリーではなく、確かにそこにあったマリッジ・ストーリー!」マリッジ・ストーリー うさぎさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ディボース・ストーリーではなく、確かにそこにあったマリッジ・ストーリー!

2024年4月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

幸せ

冒頭に、相手の長所が流れる。朗読とともに幸せそうな結婚生活が描写されるが、まさか離婚に向けてのプロセスだったとは!

ニコールが、結婚によって自分という個がなくなっていくように思える気持ちは、同じ女性としてよくわかる。夫の浮気が一つの起爆剤だったかもしれないが、自分を取り戻すべく、離婚を決意したニコールに対し、夫のチャーリーが、寝耳に水な感じで、全くニコールの気持ちに気付いていないのも、女性から見た男性としてリアルだ。

スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの演技が光る!涙を流しながら罵り合うシーンは、相手に対する憤りをぶつけつつも、本当はこんなこと言いたくないのに…という複雑な気持ちを表現している。

一方、離婚を決めてからも、至るところに夫婦愛が感じられるシーンが良い。決めきれないチャーリーの代わりにメニューを選んであげたり、ほどけた靴紐も結んであげたり…

最後にもう一度、ニコールが書いたチャーリーの長所が出てくる。息子とチャーリーによって朗読されるのを聞き、ニコールもチャーリーも涙ぐむ。夫婦だったんだな、と。でも終わってしまったんだな、と気づき、ふと悲しい余韻が残る。

ディボース・ストーリーではなく、確かにそこにあったマリッジ・ストーリーを、愛情深く描く素敵な映画だった。

うさぎ