「加藤雅也は、地がかっこよすぎてマイナス」彼女は夢で踊る 川柳児さんの映画レビュー(感想・評価)
加藤雅也は、地がかっこよすぎてマイナス
ストリップ。
その、ビジネス、形態、そして響きからして、古いイメージがあるし、そのイメージが強い。
思えば、ストリップがピンク映画になり、アダルトビデオになり、そして今はバーチャルAVになって変わっていったように思う。
自分的には、女性の裸を見る、または性行為をする、というのはあくまで一人で、または二人で楽しむべきものだと思っているので、「大勢の他者と一緒に、女性の裸を凝視する」ストリップには、あまり興味がない。
ただ一度だけ、もう20年以上前だったと思うが、川崎ロック座に行った事がある。それはストリップが観たかった、というより、AVで超人気だった桜木ルイが出演するということで、ストリップへと言うより、当時はどちらかと言えばアイドルのライブに行く感覚だったと思う。
さて、自分の「ストリップ」考察はここまでにして、そろそろ、この映画の感想を。
予告を観て、ちょっと変わった映画やなぁ~。と言うのが第一印象。
それが「お、観に行こう!」という気持ちに変わったのが、2人の俳優の出演。
一人は主演の加藤雅也。もう一人は、仮面ライダービルド、犬飼貴丈。
加藤は「アンフェア」での、クールさと面白さを両方備えた演技が好きだった。
一方、犬飼の出演は、特撮好きとしては観たい、応援したい、という気持ちから。
しかし、期待した加藤の配役は失敗やったと、自分は感じた。
カッコイイイメージが自分の中で強すぎて、経営に行き詰ったダメ人間として観ることが出来ない。
トークショーで監督が言っていた。加藤が一生懸命、本物の館長のしぐさを真似して会得していた、と。
それが似ていたかどうかは知る由もないが、やっぱり、「あんなカッコイイ人が」感がぬぐえなくて、ミスキャストの印象が最後まで残った。
一方の犬飼。ビルドを演じる前に出演したという情報があるが、真偽は知らない。
頑張って演じていて、失恋そして新たな恋をする等身大の若者の姿が、ちょうど似合っている。
でも、彼ならこういう、ちょっと色物系で単館で上映される作品ではなく、もっと本道の全国展開の作品に出れるはず。この作品が、彼の黒歴史にならないよう願うのみ。
一方、他のレビューにもあったが、松山千春の「恋」が流れた部分では、号泣ではないが、なぜだか自分も涙が流れてきた。なにか、こうノスタルジーみたいなものが琴線に触れた感じ。
ただ、この「恋」がオリジナルでなく、後年松山千春が歌い直したバージョンであったのが、彼の元ファンとしてはちょっと残念。 これも、加藤の場合と同じく、思い込みが邪魔してるからかもしれない。
加藤のミスキャスト作品とだとは感じるが、作品そのものとしては面白いし、評価もできる。
まぁテレビ放送される可能性は、限りなく低いと思うけど、もし放送してたら観るなぁ。
(その時は、オリジナルの「恋」を自分で流すかも)