「3回観てもますます好きになる。」彼女は夢で踊る エクさんの映画レビュー(感想・評価)
3回観てもますます好きになる。
結果として、3回映画館に足を運んだ。
3回観てもまだこの作品が好きになる。こんなことははじめてだ。
静謐な暁の海のダンスシーン。
生きづらさを背負って、つかのまの生きるよろこびを謳うサラに、なにもしてあげられない苦しみを噛み締める青年。抱き締められないのに、抱き締めるしかない。
言葉がない。
哀しくて、そして美しいシーン、今年の映画最高のシーンだと思った。
今までに「上手に生きられない」女の子に自分もたくさん会ってきた。せめてサラにはストリップ劇場の舞台で踊ったことを誇りにしてほしい、そして踊ることを好きなままでいてくれたなら、そんな風に思ったりした。
性をタブー視する日本社会の心性をあれこれ言うのは止めておく。
またスクリーンで観たいが、今日でラストダンスだろう。ほんとに素晴らしい作品だった。製作に携わったスタッフ、キャストのみなさんに最大級の賛辞をおくらせていただく。
そう、矢沢ようこさんのダンスシーン、これもまたほんとに美しい。3回目にしてますます沁みた。
浮気なストリッパー、そしてストリップをこれからずっと、ささやかながら応援させていただく。【3回目の映画体験後】
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公開を楽しみにしていた。
最近、突然のマイブームとなったストリップが題材と聞き、繰り返される公開延期のたびにがっかりしながらも、ひたすら待った。
ストリップをどう扱うのか扱えるのか、どこか心配しながら、当然期待は募った。
心配は杞憂、素晴らしかった。
ストリップという異空間の特殊なラブストーリー、ラブファンタジーではない、と感じた。
等身大の若者の恋、人を想うことの素晴らしさ、切なさ、そして残酷さ。
好きな人を想い続けること、想い続けられたかけがえのない人に、かけがえのないまわりに、かけがえのない場に感謝すること。
恋とか人を想うとかいうことの素晴らしさがど真ん中にある映画だった。
犬飼という俳優が素晴らしかった。彼の静かなたたずまいはとてもまわりを引き立てる。
彼がいることで、彼が関わる人がキラキラと光り出す。
岡村いずみ。ラストシーン、ほんとに素晴らしかった。悲しみをたたえた表情とやさしくも美しい姿が、あれこそが生命を表現するストリップの本質に迫っている気がした。
ストリップに通う理由が増えてしまった。【1回目観賞後】