「10年後、映画館で鑑賞したことを自慢できる作品」トップガン マーヴェリック といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
10年後、映画館で鑑賞したことを自慢できる作品
3回鑑賞しました(通常・IMAX・4DX)。
結論から言えば、おそらく今年の映画の中で一番面白い映画です。大迫力の空中戦は映画館でこそ観る価値があると思います。レンタルやサブスクで観るのは勿体ない。ぜひ映画館の大画面でお楽しみいただきたいです。
ストーリー、映像、演出、役者、脚本。あらゆる面において、いまだかつてないほどのハイクオリティでした。前作の良かった部分はしっかり踏襲しつつ、前作の弱点(主に演技と映像)を現代の技術と役者陣の努力で克服し、前作ファンのための懐古映画ではなく前作を鑑賞していない人でも十分に楽しめるエンタメ作品として完成されていましたね。
前作を鑑賞していなくても十分楽しめるとは思いますが、できれば本作鑑賞前に前作を鑑賞した方が良いと思います。昔観たことがある方も、思い出す意味で観直した方が良いかもしれません。前作を踏襲したシーンやオマージュも楽しむために。
本作は、前作を超えて歴史に残る名作になると思います。10年後、「俺は『トップガン マーヴェリック』を映画館で鑑賞したんだ」と胸を張って自慢できるであろう、最高の作品です。ぜひ劇場でご覧ください。
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30数年前、上位1%のエリートパイロットだけが集められる訓練所「トップガン」に在籍していたマーヴェリック(トム・クルーズ)。輝かしい戦績を残して勲章も数多く持っている彼だったが、昇進を拒み続け、いまだに現役パイロットとして活躍していた。そんな彼に与えられた最後の任務は、難易度の高いミッションを成功させるために教官として若きエリートパイロットたちの指導を行うことだった。その中には、訓練中の事故で亡くなったかつての相棒であるグース(アンソニー・エドワーズ)の息子、ルースター(マイルズ・テラー)の姿があった。
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1986年に公開された前作『トップガン』は大ヒットし、トム・クルーズの出世作となりました。公開直後から続編製作の話が持ち上がっていたらしいですが、作品に思い入れが深かったトム・クルーズが「中途半端な続編を作らせたくない」という思いから、『トップガン』の続編製作権を買い取ります。その後も「自分が納得しないと続編は作らせない」として、続編製作のオファーを断ってきたそうです。
つまり本作は、「解釈不一致を許さない世界一のトップガンオタクであるトム・クルーズが認めた正統な続編」なんです。これが面白くないワケないですよ。
しかもトム・クルーズは前作が大好きであるとともに弱点があることも理解していました。それが、演技と映像。
当時はCGが未発達だったという時代背景もありますが、前作にも実写による戦闘機の映像が多く使用されています。しかし役者を実際に戦闘機に乗せて撮影を行なったところ、役者陣が戦闘機のGに耐えられずにまともに演技できなかったため、結局コックピットの映像はスタジオで撮影して、背景映像と合成して作られたとのこと。戦闘機の飛行シーンも撮影が上手くいかず、劇中に登場する映像の中にはアメリカ海軍から提供された資料映像も多く含まれています。
本作ではその反省を踏まえ、パイロット役の役者陣は約半年の戦闘機訓練を行い、強力なGの中でも演技できるようになりました。この訓練プログラムはトム・クルーズ自身が考えたものだそうで、そこからも彼の並々ならぬ情熱が分かります。CGを使えばどんな映像でも自由に作れてしまう現代にありながら、本作は徹底的に実写にこだわっています。そのおかげで、本作を鑑賞した観客が自分もコックピットにいるかのような圧倒的な臨場感を体感することができるのです。
ストーリーも素晴らしかった。
前作の続編的なポジションの作品でありながら、前作未鑑賞でも十分楽しめるストーリーに仕上がっていましたね。36年ぶりの続編と言うことで、前作を鑑賞していない若い世代の観客もたくさんいると思います。一応アマゾンプライムなどのサブスクで前作が無料配信されているんですが、全員が全員、前作を鑑賞しているわけではありませんからね。シリーズ初見の人が鑑賞しても手に汗握るミッションや大迫力の空中戦を楽しめて、前作のファンはところどころに散りばめられた前作のオマージュを観て興奮したり前作から続く因縁に涙したりします。
前作で不評だった冗長なラブシーンも本作ではずいぶん短くなっていましたし、ギャグシーンも織り込むことで、不快ないやらしさを感じさせない演出になっていました。ここも、前作の反省を踏まえて改善された点ですね。
本作は、老若男女・前作を鑑賞済みか否かに関係なく、誰が観ても楽しめる最高のエンタメ映画として完成された作品です。迫力の空中戦は映画館の大スクリーンで映画館の音響で楽しんでこそ、真に楽しむことができます。サブスクでの配信やDVDレンタルなどを待たず、今すぐ劇場でご鑑賞ください。オススメです!!