「この完璧な続編を見届けることができた喜び」トップガン マーヴェリック 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
この完璧な続編を見届けることができた喜び
オープニングであの懐かしいテーマ曲の響きと空へ飛び立つエンジンの鼓動を感じたとき、私の心は思いきり80年代へと突き戻された。本作はいわゆるヒット作のリバイバル商法とは次元が違う。まるであらかじめ続編が生まれることを運命づけられていたかのように、ストーリー、登場人物、テーマ、時代の移り変わりなど、寸分の狂いなく織り成し、万感の思いを込めて観客のもとへ届けられる。故トニー・スコットへの追悼の想いをひしひしと感じる前作同様の海上テイクオフ映像を抜けると、今やドローン時代に孤軍奮闘する存在となったトムがふと「ライトスタッフ」の音速に挑む孤高のパイロットに重なって見えたりも。そして前作とは比較にならないくらい表現性を増したアクロバティックな空中戦、さらにはトムの映画でお馴染みの「父の不在」という裏テーマも分厚く胸を震わす。吹き付ける風圧を体全体に感じつつ、もはや完璧に等しい続編誕生を心から讃えたい。
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