劇場公開日 2019年11月8日

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「生みの親と育ての親。本当の親とは何か!」夕陽のあと だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5生みの親と育ての親。本当の親とは何か!

2024年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

重い、ただ重いテーマの映画でした。

二人の母親の悲しき争いは、お互いに全く譲らず(譲れないが表現として正解かも)泥沼化状態で、解決策が無いように思え観ていて本当に辛くなりました。どちらが正しいかの回答なんて無いのですよね。どちらにも言い分はあります。それは分かるのです。でもね、途中で余りにも二人の母親の主張が強すぎて、子供の気持ちが全く置き去りにされてないか!?と観ていて少し腹が立ってしまう事もありました。

単純に考えてみると、生みの親といっても一度見捨ててしまったのですから、いまさら出てきて母親になろうということ自体、自分勝手で都合が良すぎるとしか思えないですよね。愛情たっぷり育ててきた、育ての親からすると身勝手と思うことはしょうがないことなんです。

でもなぜでしょうか。この映画では茜の事を決して身勝手で悪者と思うことができないのです。それは茜の健気さと真剣に我が子の事を思う純粋な行動に表れています。あぁ、この人も被害者なんだなと。もちろん、演じてる貫地谷しほりの素晴らしい演技力のおかげでもりました。迫真の演技は見事でした。

それが故に、鑑賞していても正解にたどり着けないのです。どちらかに肩を持たせてくれた方がよっぽど楽か…。結局、どちらにも肩を持つこともできず、正解も出ないまま、一緒に苦しんで鑑賞せざるおえず、何とも言えない苦しい時間が過ぎていきます。

正直、途中まで悲しい結末にしかならないのではと諦めすら感じ始めました。どんな残酷な結末になるのかと。ただ、二人を溶かしたのも、また子供である豊和なんですよね。豊和の純粋さには、本当に心が洗われる思いでした。

ただ、ラストの結末は、本当に両者共に納得した結果なのかな!?っと少し疑問には思えました。かなりの妥協が入った気もして、後々後悔の念に駆られないかなぁっと。もちろん、誰もが悪者にならない唯一の優しい結末であったとは思いましたが。

総じて、非常に考えさせられた映画でした。たまにはこういう真面目な作品も観て感情を揺さぶられるのもいいなぁっと思った次第です。

タイトルにもあるように、非常に綺麗な夕陽のシーンがこの映画の見どころにもなっているので必見でしたね~。

だいふく