劇場公開日 2019年7月26日

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「みんな気の毒」セーラ 少女のめざめ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 みんな気の毒

2025年7月21日
iPhoneアプリから投稿

終盤思いもよらぬ方向へ舵を切る本作だが、主人公含め気の毒な人間が量産されるハメになる。女優として成功する為に数々のオーディションに行くもシバかれる日々を送っていた主人公にチャンスがやって来る。だがそれが恐怖の始まりであった。。。
オーディションに落ちまくって闇落ちするのかと思いきや、そうでは無いのが本作で、今となってはデミ・ムーア主演の「サブスタンス」とやや被るところもあるかも知れない。芸能界がどれだけ厳しい物かが作品に大きく影響してくる本作だが、ポスターの割には大人しい映画である。その中で主人公が次第に狂っていく姿は中々迫力があった。鬼気迫るオーラが漂い、それが終盤になって爆発するのである。

95分の本編に対し、ドラマパートに60分ちょっと割かれているため、非常に主人公に感情移入出来る。友人は親身になってくれるが、それがプライドの高い主人公にはグサッと来るのだろう。そんな友人のそばには同じ俳優志望の能天気で胡散臭い仲間。ちょっと嫌味な奴が居るのもいかにも芸能界の裏の顔という感じだ。

いざ"覚醒"してからは展開が早く、人の頭を叩き潰したりなどのスプラッタ表現も多々登場する。何故そうなったのかなど、"覚醒"に関する部分は曖昧にしか描かれず、ある程度観客が予想して観るようなイメージだが、丁寧だったドラマパートから一転、投げっぱなしになる展開は恐らくわざとだろう。彼女の人生や夢が一瞬にして壊れる様を撮りたかったのではと推測される。拡大公開する程の作品ではないだろうが、ホラーファンには多少なりとも刺さるのではないだろうか。
ちなみに、原題は「Starry Eyes」。キラキラ輝く瞳という内容だが、これは後半にしっかり回収される。それに対して主人公の名前を邦題にしている日本の配給元はそれを踏まえた上でこの邦題なのだろうか。全然少女じゃないし笑。そこはB級ホラーの宿命と言ったところだろうか。

Mina