「いつまで保つだろうか」劇場 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
いつまで保つだろうか
やはり劇場で観なくてはということで、地元のミニシアターで鑑賞。
舞台は演劇の街下北沢。
永田は人の前でなかなか上手く喋ることが出来ないなど人見知り。
沙希は社交的で明るく、いつもニコニコ、そしてしっかりと感情を表す女の子。
そんな2人の静かな恋愛の記録。
行定監督の作品は初めてでしたが、淡々と進むながらも、少しずつ登場人物が変化していく様が見事で、どんどん中に引き摺り込まれるような映画でした。
これを退屈と感じる人もいるかもしれませんが、僕は結構好きなタイプの作品です。
永田は人見知りで外では弱い分、同棲している沙希にだけは自分を否定されたくないが故に、思っても見ないことを言ったり、してしまったり、自分のやりたい放題にしてしまうという、超だらしなくてどうしようもなく面倒くさい男でした。
沙希の家に居候しているのに、沙希を褒めず、感謝もしない。
沙希など自分の方が上に立てそうな相手にだけはクズ男になる永田には、終始イライラしていました。
ですが、特に嫌いにはなれなくて、ずっと沙希と一緒にいてほしいと思ってしまいます。
一方、沙希はどんな時でも永田に甘く、彼を許すという超理想的な彼女と言った感じです。
ただ、その分無理している様子がチラホラ見えて、月日が経つにつれて、どんどん崩壊していく様子が可哀想すぎました。
それでも、変わらない永田のことが大好き。
こんな彼女、多分一生見つからないぞと永田に言ってやりたい。
そんなこんなで、2人の全ての恋愛模様を知った上で辿り着くラストシーンは涙なしには観れませんでした。
夜が綺麗でもありました。
2人で徹夜して作った小道具、子供のように乗り回して破壊した原付、サッカーゲームと放置された梨、朝まで桜並木の道を走った自転車、夜の雷雨、街の明かりの反射した水溜り。
下北沢という街もやはり素敵でした。
又吉さんの原作はもちろんですが、監督の撮り方、山崎賢人さんと松岡茉優さんの自然な演技、筧一郎さんや伊藤沙莉さんなどの世界観にあったサポート、全てが調和した結果だと思います。
ラ・ラ・ランドのような終わり方、僕はハッピーエンドだと思いました。
2人の恋愛に少しお邪魔させてもらったような感覚で、とても恋がしたくなる一作です。
最後に、
本人役で吹越満さんが出てて少し嬉しかった。