死霊魂のレビュー・感想・評価
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生者と死者の証言により歴史はつくられる
中国共産党の主導した百家争鳴で意見を述べた人々は右派とされ、その後の半右派闘争によって55万人の人々が再教育収容所へ送られた。 しかし、実際は職場に右派と申告する人数のノルマが課せられ、理由もわからずに収容される人々も多くいた。 その後の大飢饉も重なり生還率10%といわれる再教育収容所の実態に迫った8時間26分のドキュメンタリー。 多くの人々の証言の積み重ねにより何があったのかが明らかにされていく。 原爆体験や従軍慰安婦はじめ、この半右派闘争も当事者が高齢のため亡くなっていく。 当事者の声を聞かない無責任な発言が横行する現在だが、 歴史とはこのように刻まれていくもので、過去の事実から目を逸らしたい1政治家や個人の稚拙な歴史戦などではどうこうなるものでは無いことがわかる。
知っておくべき中国共産党の黒い史実
1950年代後半に、中国共産党の百家争鳴キャンペーンで自由にモノを言ったら右派のレッテルを貼られ逮捕されモンゴル国境方面の砂漠に有る再教育収容所へ送られた人達の話。
2005年から2017年にかけて関係者へのインタビューと現地ロケを行い完成させた506分、2回の休憩含め約9時間の大作。
再教育収容所と言いながら、実は多くは教職に付いてた人でかつ濡れ衣らしい。また飢饉が重なり収容されてた人の大部分が食べるものが無く9割以上の人が餓死などで死亡したとの事。
第一部は生還者の証言と収容所跡地の現状を現在の居住者と確認する。
第二部も収容所跡地での遺骨や入れられていた地下洞窟跡などの紹介とやはり生還者の証言。
第三部は生還者に加え、収容所の元職員、夫を殺された元妻の証言まであり、またこの事件(これ事件だと思う)から50年以上経過した現地の白骨が散乱してる惨状。
中国共産党は、いったい何がしたかったのだろう、と言うのが最初の感想。
想像するに、毛沢東が中華人民共和国を建国したのが1949年だから、それから数年後と言う時期を考えると、反体制的な知識人(濡れ衣含む)に恐怖政治を植え付け言論統制を図る目的も有ったのだろう。
長いけど、後半になるにつれのめり込んでいくように感じ、特に第三部はもう終わったって感じるほどだった。かつての中国共産党の黒い史実を知る上でも貴重な作品だと思う。
記録的な価値の重さ
出だしから超ロングの長回しフィックスインタビューが淡々と続いて、そういった映像で大部分を構成しているため、正直、もう少し編集なんぞしてくれたら苦痛もなかったなどと思ってしまうけれど、このつらさを含め全てが作品の本質なのだと認識して、しかと見よ!という厳しい映画です。 うまさとか、巧みといったものとは無縁であり、映像や音声も粗々しい・・・故に、やはり苦しくて痛くてつらいのです。 1部・3時間近くやって休憩20分、2部・2時間半ぐらいやって休憩20分、3部・3時間ぐらいやって終了、という上映形態。1席とばしの場内は満席、前売りも無いみたいだし、皆さんある意味怖いもの見たさなのでしょうか・・・。 タイトルのインパクトとは程遠い映像かなーとは思ったけれど、内容自体はその名の通りのもの─、と思いながらの3部ではその映像に魂を抜かれるような思いになりました。 なんで流しっぱなしのような映像ばかりなのかと何度も思いましたが、加工しないことによる生々しさというのが想像以上で、記録することの意義というか、ドキュメンタリーの本質みたいなものを見せつけられたような気がします。 人それぞれに話す姿や仕草、スピードや内容といったものがまるで違っていて、それらをじっくりと見ていると、話す内容や感情に加えて、その人の考えや話しの裏なんかも見えてきて、非常に興味深いものがありました。 鑑賞するのには、かなりの時間と労力を要しますが、吸収できることは必ずあると思います。ぜひチャレンジしてみては─。
やっぱり長すぎて。。。
第2部で退散。話す人の話し振りで惹きつけられ方も変わってきます。 話す人が終わるたびに、亡くなった事が表示されると切ないですね。 アメリカや中国、もしかしたら日本も、当時の中国のような誤った政策で とんでもない方向に行かない事を祈っています。
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