「新しい恐怖が花開く」ミッドサマー 室木雄太さんの映画レビュー(感想・評価)
新しい恐怖が花開く
夏至、異国の村落、9日間の祝祭の果て… 生贄として導かれたとは知り得ない、予測もしない、奇妙な共同空間にありながら、徐々に共鳴を覚える一時に、カルト的狂気の沙汰が滲み出す。歪んだ認識と、目の前で繰り返される奇行とのシンクロで、不安が段階的に確信へ迫る反面、現実から逃避させる“日没の無い闇”が背後から忍び寄る、サイケデリックな白昼夢だ。焼失させたい記憶と、抗えない運命への導き方、妙な彩りを加えられた映像世界に、悍ましい新感覚をみたのである。
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