「不快だが、」ミッドサマー からあげくんさんの映画レビュー(感想・評価)
不快だが、
エンドロールを最後まで見ずに劇場を後にしたのは、この映画が初めてだ。
何だこの映画は。一体何を見せられたのだ。
めっちゃ気分が悪い。腹が立つ。
劇場中心部にいる気まずそうなカップル、何でここに来たんだ?本当にかわいそう。
私だけではない。劇場の空気は「ヤベェものを見た」という困惑の色一色だった。
グリーンインフェルノやウィッカーマンが好きな人は、ミッドサマーを気にいるかもしれない。
物語の冒頭でいきなり主人公の妹が両親と無理心中をしてしまう。
主人公は序盤から人生で最も辛い局面にいる、心の拠り所は恋人だけだ。しかし、恋人とその友達はメンヘラ気味の彼女を煙たがる。
そんな中、主人公一行は卒業研究のために北欧の秘境へ旅立つことに。
北欧の秘境ホルガ村。ウェルカムドリンクの代わりに笑顔でドラッグを勧めてくるヤベェ村だ。
こうして衝撃的な「祝祭」体験が始まる。
中でも一番嫌だったのは、セックスしないと出れない部屋だ。色々と斬新すぎるし、本当に気持ち悪かった。最悪過ぎて全然エロくない。性欲を減退させたい人には良いかもしれない。
祝祭の見学者は次々と行方不明になり、ついには主人公と恋人の2人に。
ホルガ村クイーンの座を手に入れた主人公はすっかり村に馴染み、儀式の生贄を選ぶ権利まで手にしている。
恋人か、村の住人か。恋人の浮気現場を目撃した主人公が生贄に選んだのは……
業火に包まれる恋人を見て泣き叫ぶ主人公。それに呼応するかのように村人たちも泣き喚く。
そして最後に妖しく微笑み、終幕。
主人公に感情移入するか、主人公の恋人に感情移入するかで評価が別れると感じている。
私は恋人目線で映画を見ていた為、何だこれは、と思ったが、反面、ラストは部屋中の粗大ゴミを棄てた時のようにスッキリしたと語る人もまあまあいる。
恋人くん、友達に「早く別れろ」と言われても「今はダニ(主人公 )が辛い時だから」と別れなかったしそこまで悪いやつじゃないんだよね。ヤリ部屋での浮気現場見られたけど、不可抗力だったし。
結局、カルト信者のやりたい放題で無意味に人が死んだ。
それ以上でもそれ以下でもない。
感動もしないし、興奮もしない。悲しくもないし、怖くもない。とにかく不快。
こんなクソ映画二度と観るか!と息巻いて家に帰ったが、2日くらい経ったあと、不思議と「またミッドサマーを観たい」と思うようになった。というか、暇な時は考察サイトを見たりしてずっとミッドサマーのことを考えている。
不快なのに、また観たい。謎の中毒性。
この映画を見ることでしか得られない感覚だ。
それがこの映画の唯一無二たらしめるものであり、この強烈なオリジナリティーは評価されるべきだ。
良い点
・画も音楽もパンチが効いている
悪い点
・白い服や花冠を見ると映画を思い出してしまう(トラウマ)