劇場公開日 2020年2月21日

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「独特な怖さ」ミッドサマー Karoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5独特な怖さ

2020年2月22日
iPhoneアプリから投稿

「ミッドサマー」

すごい映画だった、、。 なんだろう、なんて書けばいいのか。笑

いや、映画として面白かった!

アリーアスターが描く怖さが独特。ヘレディタリーは終始、画面が暗い世界観だけど、本作は眩しいぐらい明るくて、太陽、村の人たちの笑顔が怖いし、花でさえ、ちょっと気持ち悪いってなった。

グロさレベルでいうと、グロいシーンは思ったより多くはないけど、エグい。。 しかし、このじわじわくる恐怖心の引き出し方、天才かよ。2時間40分と長いけど、全く長く感じなかったし、作品としては傑作だなって思う。

だが、笑

今の社会や文化からしたら、非道徳過ぎておすすめできないよね🤣グロいとかグロくないってより、そこが無理な人はこの作品は無理だろうなぁと思う。

この映画の何が1番怖いかって、人間の解釈や意味づけで、信じられない残酷な行為でさえ尊いものとして捉えることができるということ。いや、マジでこわい。

カップルで観に行かないほうがいいというのも、確かにそうかもとも思った。

でも、女性がスカッとするとかそういう感想多く見かけるけど、私はそこまでスカッとできなかったかも。

登場人物の誰に感情移入するかで変わるだろうと思うけど、監督もインタビューで言ってますが、この映画は主人公ダニーの視点、主観で描かれているから、ダニーから見た世界が描かれている。ダニーが善として捉えるものは善だし、ダニーから見た悪は悪。ダニーの救済物語的な。

視点を変えたら、ただの地獄。

わたしは主人公に感情移入できなかったパターン。

確かに、論文のあたりとか彼はクズだなと思ったけど、彼は彼女の傷みを背負えるほどの器がなかっただけの話。弱い人間だけど、悪人じゃない。そういう人の弱さみたいなものを悪として捉えてしまったら、この世界どうなるんだろうかとか考えてしまった。

一方で、彼女の彼への依存心も正常にはみえなかった。

彼は同情。
彼女は依存。

私は登場人物に感情移入できなかったから爽快感もなかったけど、同情と依存だけでつながっている別れられないカップルの破局物語として観るとそれもまたおもしろいと思った。

あと、映画の中で出てくる儀式とかも実際に存在していた儀式を参考にしていたり、数字の意味だったり、いろんな細かい演出に意味があったりするみたいで、そこを見終わったあとに調べたりするのおもしろいのかも。

とりあえず、ぜひ観てくださいとは言わないが。笑

なかなかすごい映画です。

Karo