「【続いてるということ、繋がっているということ】」ソワレ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【続いてるということ、繋がっているということ】
舞台挨拶のある上映回の鑑賞。
それぞれ人にとって映画の持つ意味は異なると思う。
だが、出来たら、この作品の何かを訴えようとする力を感じて欲しいと思う。
タカラは、翔太と一緒に逃げるなかで初めて、生きていると実感出来たのではないのか。
父親からの暴力や性的虐待を受けながら、タカラはずっと、生きてはいなかったのだ。
そして、生きるとは何なのかさえ理解できなかったのだ。
タカラは、翔太と共に駆ける。
初めは逃れるために走っていたのが、いつのまにか、生きるために…生きていることを実感するように駆けるよつになっていた。
この作品中のタカラの駆ける姿は力強く印象的だ。
そして、ほんの数日の逃避行のなかで、タカラは、どこか逞しくなった。
翔太にもエールを送った。
翔太は、ふとしたことがきっかけで、タカラと前に出会っていたことを記憶の奥から手繰り寄せる。
そう、これは、終わりではないのだ。
翔太はタカラと、昔から繋がっていたと確信したのだ。
そして、タカラによって自分自身を見つめ直すきっかけを得た。
だから、この物語は、ここで終わりではない。
昔から繋がり、そして、これからも続いていくのだ。
そう願わずにはいられなくなる作品だ。
性的虐待の被害者と、どこか行き場を失った若者を優しい視点で見つめた力強い作品だ。
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