向こうの家のレビュー・感想・評価
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でんでんさんと釣りに行きたい❗
別宅は海岸近くの坂道を上がったところにある昭和テイストに溢れるなかなか立派な家で味わいがある。
そこに、30代半ばのいい女が住んでいる。
借家を与えられている設定だが、囲われている感じは全くない。むしろ、男のメンツが立つように賃貸料を出させてあげている感じ。水商売上がりで、なかなかの高級クラブにいた様子。男より自由になる金は持っている感じだ。とくに上品と言うわけではないが、決してあばずれではない。
父親役の男は40代半ばで、ハンサムな普通のサラリーマン風情である。
自宅は普通のマンションか社宅みたいなのに、実に羨ましいシチュエーションである。
主人公は高校2年で、釣り部に入っているが、廃部の憂き目にあい、昼休みを過ごす部室を椎茸研究部に取られてしまう。学校を朝からサボることが日常となるが、両親とも本人を信頼しているのか、咎める様子はない。高校2年と言っても、華奢で幼い感じで、しかも自転車に乗れない。釣りバカ日誌ばかり読んでいる。
ほんの些細なことから、父親から女の存在を打ち明けられ、俺は仕事があるから、女を追い出すまで戻って来るなと命令される。学校に行かないでよいとお墨付きをもらった様なものだ。まあ、無茶苦茶である。
初めて別宅を一人で訪ねると、麦わら帽子を被り、小魚の入ったバケツを下げた千葉(でんでん)とばったり出会う。千葉は釣りが趣味の初老の男で船を所有している。船外機付きの小さいボートだろうと思ったら、外洋に出られる立派なヨットなのだ。しかし、でんでんである。頻繁に釣れた魚を持ってきたり、御用聞きみたいに女の家にきているみたいで、下心がない訳がないが、そんなそぶりを出さないでんでんの演技はまるでメルヘンのようにのんびりとした映画の雰囲気を支えている。少年とのやり取りも微笑ましい。
女の家でバカンスを過ごすような感じで、のんびりと暮らし、自転車も女のとても熱心な指導によって乗れるようになる。景色や海の描写が美しく、とても羨ましい。
でんでんと大谷麻衣がやはりいい。
青春映画のようでいて、表向きには非常に仲のいい家族や円満な家庭をきれいな映像でくるんだシニカルな視線で描くちょっと意地の悪い映画かな。
自転車で彼女と並んで走っていくラストは萩が瞳子から教えてもらったものを改めて彼女とやり直すみたいなことか?
上映後にトークショーがあったが、若い監督さんと女優さんが、撮影した2年前の思い出を懐かしむ内輪噺に終始していて、せっかくの映画の余韻が壊された感じで、残念。隣り合わせたご夫婦も早く帰りたいと言ってましたね。
そんなに出たらガクブルです
両親と姉と主人公という喧嘩も揉め事もない仲の良い4人家族の父親が浮気をしていて、その相手との別れ話に手を貸すことになった高校二年の長男の話。
引き籠もりではないし、所属していた釣り部が廃部になったことが切っ掛けではなかろうけれど、学校へ行かなくなった青春モヤモヤな主人公。
ある日父親に忘れ物を秘密で届ける様頼まれてことが起きていくストーリー。
家族の崩壊劇とはいうけれど、悲壮感はあまりなく、終始明るいというか惚けた様な空気感。
向こうの家での酔っ払いトークは本当に少し入っているのかという絶妙さだしw
ハッキリと何かを語ったりみせたりする訳ではないし、大騒ぎがある訳でもないけれど、浮気相手や彼女と接する父親や、自身と母親、母親と父親の関係性から何かを感じて学ぶ成長物語という感じで、変な爽やかさもありなかなか面白かった。
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