「応援すること、のもつチカラ」アルプススタンドのはしの方 あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
応援すること、のもつチカラ
見落としていたこの作品を観ることができた今日は2024年7月31日。今年の夏の甲子園大会の出場49校が昨日までにすべて決まった。選手、応援団、観客の熱い夏はこれからはじまる。
元々は高校演劇大会用に書かれた戯曲であるらしい。どこかの地方球場でのロケとセットによる撮影であり甲子園球場のアルプススタンドの迫力はとても再現できていない。でも、アルプススタンドの「はしのほう」と「まんなか」を交互に映すことにより徐々に応援する熱が高まっていく姿はうまく演劇的に表現できている。
「はしの方」にいるのはまず安田、宮田の演劇部員二名。この二人は野球を全く知らず、トンチンカンなやり取りが笑いを誘う。そこに野球部をやめた藤野と、勉強一筋のメガネ娘宮下がやってくる。
「まんなか」には吹奏楽部長の久住と吹奏楽部員の女子二名。そして画面には出ないがグラウンドではエースの園田や補欠の矢野が強豪校と戦っている。彼らには、それぞれ因縁があり、「はしの方」の四人は最初、試合を応援するつもりはまったくない。ただ教師の厚木を含め、それぞれがぶつかりあっているうちに、だんだんグラウンドの園田や矢野を応援する気持ちが高まってくる。最初はさめているだけに終盤の熱量との振り幅が大きくアルプススタンドの一体感が熱く熱く伝わってくる。
甲子園のアルプススタンドは観戦する場所ではなく応援する場所。ひとがひとを真っ直ぐに応援するとどれほどのパワーを生むことができるのかを端的に見せてくれて素直に感動する。
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