「全く知らない世界だが訳もわからずグッときた」アルプススタンドのはしの方 エロくそチキンさんの映画レビュー(感想・評価)
全く知らない世界だが訳もわからずグッときた
夏の高校野球の予選1回戦。人がまばらな一塁側スタンドのはしの方。試合の中盤から母校の応援にきた野球を知らない演劇部の女子二名と元野球部の男子一名が交すまったりとした会話が気持ちいい。
友達がいない学年一番の女子やら、頑張り過ぎている吹奏楽部の部長の女子やらが交錯し、彼彼女たちの青春がやはりまったりと、しかし確実に熱を帯びていった。
母校の応援に行くという選択肢を持たなかった自分のようなアウトサイダーにとってはスタンドのはしの方さえ遥か遠い場所だが、これが青春そのものではないかとイメージした。訳もわからずグッときた。
そう、知らない世界を見せて感動させるのが映画のマジック。この作品にはそのマジックがあった。今年の日本映画のベストの一本だろう。
この機会に数ある城定秀夫作品にも注目が集まればと切に願うが、ピンク映画のフォーマットが多いので敷居が高いのかもなぁ。
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